【F1】大クラッシュ・炎上事故から生還したグロジャン 炎の中から脱出できた「理由」とは
コースマーシャルに肩を担がれて救急車に搬送されるグロジャン(ハース提供)
22年前の記憶がよぎる。1998年に富士スピードウェイで開催された全日本GT選手権(現スーパーGT)で大田哲也選手の乗っていたフェラーリが大雨のなかで始まったフォーメーションラップでのローリング中にコントロールを失った他車と衝突して炎上。大雨で視界不良となっていたことが混乱を招いた。
マシンは一瞬のうち炎に包まれ、太田選手は90秒近く中に取り残された。それでも後方を走行していた山路慎一選手や、現場のコースマーシャルに助け出されて命を取り留めることができた。全身の熱傷がひどく、幾度にもわたり皮膚の移植手術をしなければならなかったが、5年後の2003年にレースに復帰。この時の事故は映画化もされた。
その事故の瞬間は現地のプレスルームにいた。スタート時は多量の燃料を搭載しており、クラッシュが炎上事故につながりやすい。前年の1997年には同じ富士スピードウェイで全日本F3の選手が他車と絡んでホームストレート上のブリッジに激突して死亡するという痛ましい事故が起きていた。当時の私は駆け出しの記者だったが、モータースポーツがいかに危険な競技であるかをまざまざと思い知らされた。
F1の運営側も炎上事故に至った原因を究明すると表明している。今回のグロジャンのクラッシュも一歩間違えていれば、死亡事故になっていただろう。今年のF1は大きな事故が頻発しており、バーレーンGPと同じ会場で開催される次戦サヒールGP(12月6日決勝)が気にかかる。念には念を入れて安全対策を徹底してほしい。
[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]
トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)
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