ぜひ一度、ご覧あれ――J3で“絶好調”のアタッキングフットボール 栃木シティが提供する「娯楽性」

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田中パウロ淳一が攻撃にアクセントをつけている©︎TOCHIGI CITY

 一般的な4-3-3の運用で言えば、守備時に中盤のスペースを埋めるために両ウイングを下げ、4-1-4-1や4-4-2に変形して守ることも多い。だが、栃木シティはそれをやらない。3トップをキープし、その裏をカバーするためにサイドバックの鈴木裕斗らも下がらず、敵陣でプレスと前進を繰り返す。前へ、前へ、えっほ、えっほ。

 アタッキングフットボールって何ですか?

 実はこの質問は昨年末、今矢監督本人に投げたことがある。答えは「小学生っぽく聞こえるかもしれないけど、やっぱりゴールを目指すこと」だった。「ポケットやワイドレーン、ボールの受け方など戦術はあるけど、それを勉強しすぎると目的がズレることがある。ゴールは真ん中から動かない。それを強烈なメッセージとして打ち出せるかが大切だと思う」と語ってくれた。

 栃木シティのサッカーを見ると、その言葉に嘘も曇りもないことがわかる。守備は待たない。いつも前へ前へと敵陣でプレスに行く。ポゼッション時は横パスやバックパスを使うこともあるが、前方が空いているときに横や後ろを選ぶことはない。多少不確かでも、背後にスペースがあればどんどん放り込む。

 栃木シティは技術に長けた選手が多いが、無駄にボールを回さないため、平均ポゼッション率は48.2%と若干低めだ。J3は対戦相手のレベルが上がったので、支配を許す時間帯もあり、その影響は無視できないが、それでも一貫して攻撃の手数は多い。とにかく多い。

 もちろん、何でもかんでも前へ放り込むわけではなく、たとえば自陣ポゼッションはCB間に1枚入れて3枚に変化し、相手のプレスを避けることもある。ただし、その役割はDF化したGK相澤ピーターコアミに任せ、MFはできるだけ最終ラインに下がらない。

 前へ、前へ、敵陣へ人数をかけていく。そこへGK相澤からのロングパスで背後をねらい、こぼれ球を拾って一気に攻め落とす。手数をかけないシンプルかつ技巧的な連続攻撃が、サポーターを、会場を沸かす。

 常に前へ。ゴールを目指してプレーする。ポゼッション時に前へ、被ポゼッション時も前へ。「前」。アタッキングフットボールの説明は、実はたった1文字でいいのではないか。「前」にどこまでこだわるか。

 たぶん、超ハイレベルになった小学生のサッカーが、アタッキングフットボール。見る人の気持ちを若返らせるスタイルだ。

 栃木シティ、未見の方はぜひ一度、ご覧あれ。

 サッカーは面白いって伝えなきゃ♫
 えっほえっほえっほえっほ

[文:清水英斗]

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