「ベイスターズに勝てた。個人的には嬉しい」――原点の地・横須賀に戻った元DeNA戦士 戦力外を経験した寡黙な職人の“現在地”
苦楽を共にした筒香とグラウンドで並び立った倉本(C)萩原孝弘
幾度も断った「キャプテン」という重責
ハヤテでの3年目を迎えた今シーズンはキャプテンに就任した。実はこの大役抜擢には、当初は「何回も社長に断った」という裏話がある。寡黙に己を磨く職人気質の倉本にとって、集団の先頭に立って声を張り上げるリーダー像は、自分とは対極にあるものだと感じていた。
しかし、引き受けたからには彼なりの哲学がある。理想とするリーダー像は、言葉の力で押さえつけるものではない。
「キャプテンだからっていうのも好きじゃないし、『やるぞ!』っていうのもなんかあんま好きじゃない」
そんな倉本が何よりも重んじているのは、グラウンドでの振る舞いだ。
「プレーの中で引っ張れたらいいかなとは思いながら、グラウンドに立ち続けることも大事だと思いますし、大事なとこでヒット打つことも大切にしていかないといけないかなと思います。ただみんなで『まとまっていくぞ』みたいな声出しとかは、僕のタイプではないかなと……」
2022年オフにベイスターズを戦力外通告によって退団してから在籍した社会人野球の日本新薬時代にもまとめ役を経験している。しかし、当時とは違った難しさを、今まさに肌身で感じている。
それでも現状を「すごくいい経験をさせてもらっている」とポジティブに捉える倉本にとって、キャプテンという立場は、野球観にも変化をもたらした。
かつては、自分の理想とする打撃、守備を極めることに心血を注いできた。それが現在は、視座が一段高い場所にある。
「極端に言えばゼロか、100。自分の追い求める姿を貫いてやってましたけど、今はどうやったら(チームが)良くなるかなあと。そこらへんは勉強しながらやっています」
35歳になって訪れた変化は、若手選手との接し方にも表れている。勝利後、そっと若手にドリンクを差し出すなど、キャプテンとして、また年長者としての気遣いも積極的に行う。
「まあまあ、できることはやっています。人数も少ないですし、彼らに頑張ってもらわないと、チームはうまく回りませんからね」








