髙阪剛「UFC234」の展望を語る ウィテカーvsガステラム、アンデウソン・シウバvsアデサニア etc.
「自分の制空圏でしっかり闘うことができる2選手の闘いは異次元レベル」
アンデウソン・シウバ 写真:Getty Images
――続いて、アンデウソン・シウバvsイズラエル・アデサニアの一戦ですが、髙阪さんはアデサニアを以前から注目されていましたよね?
髙阪)そうですね。「こいつはタダ者じゃないな」と強く思ったのは、昨年7月にやったブラッド・タヴァレス戦です。自分の「制空圏」というものを明確に持っていて、そこに相手を入れさせない、自分の距離で試合をやり通すことができる選手だなと、強く印象に残りました。総合格闘技における自分の世界に、相手を追い込んでいくというか、ハメていくというか。その試合の作り方が、すごくうまいなと感じました。それは相手がわかっていても、だんだんそこに入っていってしまう類のものなんです。
――いつの間にか、アデサニアのペースに巻き込まれているという。
髙阪)だから、あの試合でもタヴァレスがプレッシャーをかけていこうとしても、アデサニアはまったく意に介さず、ペースを崩そうとしない。そして一瞬でも自分の距離になったら、一気に畳み掛けるように打撃を打つ。それでいながら、相手が変に組みついてこようとしたら、「ここは自分の距離じゃない」ということで、深入りせずに引いていく。まさに「自分のやりたいことだけ」を徹底して実行しています。昨年11月「UFC230」でのデレク・ブランソン戦では、そのタヴァレス戦と同じことをやっていて、さらに勢いもついていたんです。要はノッてきている状態だと思うんですよ。すでにUFCミドル級王座というものが、彼の視野にすでに入ってきているんだと思います。
イズラエル・アデサニア 写真:Getty Images
――いよいよそのタイトル戦線に向かうタイミングで、アンデウソン・シウバというレジェンド中のレジェンドと対戦することになりました。
髙阪)アンデウソンもまた、アデサニアのような「自分の制空圏で闘う」ということがしっかりできる選手なんです。自分のMMA(総合格闘技)というものがアンデウソンの中にあって、それをやりきる、そしてチャンスと見るや畳み掛けるのが強い。だから自分の制空圏を持った者同士、どっちが主導権をにぎるのか、どっちが先に仕掛けるのか、それとも僕らにはわからない相手のミスに付け入るのか……そんな異次元っぽい試合が起こるんじゃないかと思います。
――これまでとは次元が違うMMA(総合格闘技)が見られるかもしれないと。
髙阪)例えば、お互いが何も攻撃を出さずに、向かい合っているだけのように見えるのに、両者の間ではものすごい駆け引きが行われていたりとか。アンデウソンの試合で言えば、ビクトー・ベウフォート戦がそうでしたよね。ほとんど手を出さずに、アゴへの前蹴り一発で仕留めてしまったという。そういうことを起こせる選手同士が、それをお互いでやりあったら、どんな試合になるのか、ものすごく楽しみですね。
――どちらかが隙を見せた瞬間に、そこで終わるかもしれないわけですね。
髙阪)ただ、やりにくさは必ず起こると思うんですよ。似たような相手なので、自分自身と試合をしているような、そんな錯覚に陥るかもしれない。
――アンデウソンからしたら「若かった頃の自分」と闘うことにもなると。
髙阪)だから新旧の天才同士の闘いで、今回、世代交代が起こるのか。それともアンデウソンが、再びタイトル奪回に向けて前進するのか。UFCの今後を大きく左右する一戦であることは間違いないですね!
[取材/文・堀江ガンツ]
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