「アデサニヤはチャンピオンだが、まだまだ可能性を秘めた発展途上の選手」髙阪剛が『UFC253』の見どころを語る
日本時間の9月27日(日)に開催される『UFC253』のメインイベントは、王者イズラエル・アデサニヤが、総合格闘技13戦全勝の最強挑戦者パウロ・コスタを迎え撃つ、ミドル級タイトルマッチ。さらにジョン・ジョーンズのタイトル返上を受けて、ドミニク・レイエスvsヤン・ブラホヴィッチのライトヘビー級暫定王座決定戦も行われる。
(写真左より)イズラエル・アデサニヤ、パウロ・コスタ、ドミニク・レイエス、ヤン・ブラホヴィッチ/Getty Images
この注目のWタイトルマッチから、メインのミドル級タイトルマッチの見どころを、「世界のTK」髙阪剛に語ってもらった。
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写真:Getty Images
——『UFC253』のメインイベント、ミドル級タイトルマッチは、19戦全勝の王者イズラエル・アデサニヤと、13戦全勝の挑戦者パウロ・コスタによる、全勝対決となりました。
「まさにミドル級の頂上対決。しかも、両者ともにKO率が高いストライカー同士ですから、これは楽しみですよね。どちらも打撃で相手をフィニッシュするファイターですが、タイプ的には対照的なんです。簡単に言うと、アデサニヤは長い手足を駆使した蹴りも含めた変則的な打撃の使い手で、コスタはインファイトでKOを狙う正統派のハードパンチャー。」
——とくに至近距離からのフック、アッパー、ボディブローは強烈なものを持っています。
「また試合の作り方も、コスタは相手の出方を見るのではなく、自分から手を出して距離を潰して強いパンチを叩き込んでいるので、自分の『倒す力』というものをしっかり認識して試合をしている。それに彼は打撃のKO勝利が多いですが、もともとは黒帯を持っている柔術ベースの選手です。だから、もし組みの展開になっても『そこからも攻めることができるぞ』という自信を持ちつつ試合をしているのも大きい。」
――組まれることを恐れずにインファイトにいけると。
「そうですね。じゃないと、あれだけ距離を潰せませんから。それに対してアデサニヤは逆で、自分の距離で試合を進めたいタイプ。しっかり『結界』を張って、相手を中に入れない技術が高いのと、あとはロバート・ウィテカーとのミドル級王座統一戦のように、『ここから強い打撃は打てないだろう』というような体勢からでも、相手をKOできるくらいの強い打撃が打てる選手なので。相手が下手に踏み込んでいけないというところがあるんですよね。」
――ではこの試合のポイントは、シンプルに言えば、コスタはいかに距離を潰してインファイトに持ち込めるか。逆にアデサニヤは、いかに中に入れさせずに自分の距離で戦えるか、ということになりますか。
「そうなるでしょうね。で、アデサニヤとコスタの両方が対戦しているヨエル・ロメロ戦というのが、それを考えるひとつの材料になると思うんですよ。」