【UFC271】「MMAのいろんな要素が詰まったトップ・オブ・トップの戦い」ミドル級最強同士が再び!
日本時間の2月13日(日)、アメリカ・テキサス州ヒューストンのホンダセンターで『UFC271』が行われる。メインイベントは、ミドル級王者のイズラエル・アデサニヤが前王者ロバート・ウィテカーを迎え撃つタイトル防衛戦。
この試合の見どころを、「世界のTK」高阪剛に語ってもらった。
(写真左より)イズラエル・アデサニヤ、ロバート・ウィテカー/Getty Images
――『UFC271』はミドル級タイトルマッチ、アデサニヤとウィテカーの2年4カ月ぶりの再戦となります。髙阪さんはこの試合をどう見ていますか?
「前回の試合が終わったあと、まず心配だったのはウィテカーの状態でした。アデサニヤに敗れたあとに、いわゆるバーンアウト、燃え尽き症候群に陥っていたという発言があったので。実際、負けてから次の試合まで10カ月もの間隔が空きましたよね。おそらくその期間にいろいろと思うところがあったんでしょう。心情的なところを察するに、地元オーストラリアの大観衆の前でKO負けを喫して王座陥落したというのは、現実逃避してもおかしくないくらいのショックだったと思うので。」
――しかもウィテカーvsアデサニヤが行われた『UFC243』は、オーストラリアのマーベル・スタジアムに5万7127人を動員して、UFCの観客動員記録を塗り替えるほどのビッグマッチでした。
「そういう大一番での完敗でしたから、これは燃え尽き症候群になっても致し方ない、というところでしたよね。それでもその後、3連勝してアデサニヤと再戦に漕ぎ着けたのは、さすがだなと。その3試合の映像をあらためて見返してみて、ウィテカーの現在の状態というのが、今度の試合のキーになるかなと思ったんです。」
——ウィテカー本来の強さがどこまで戻ってきていて、前回とどう変わったのかと。
「そうですね。まず1試合目のダレン・ティル戦では、1ラウンドの立ち上がりこそパンチの空振りが目立ったり、カウンターでヒジをもらってフラッシュダウンもして『これ大丈夫かな?』というところが見られたんですけど、途中から持ち直したんですよね。最終的に自分の打撃をしっかり当てて、タックルでテイクダウンもして判定勝ち。
次のジャレッド・カノニア戦では、ウィテカーより長身でパンチ力もある選手でしたけど、ウィテカーはそのパンチを当てさせない遠い距離設定をとりながら、自分は速い踏み込みで効かせる打撃を入れるという、彼本来の戦いがしっかりやれていたと思うんですよ。このカノニア戦でしっかり感覚と自信を取り戻して、3戦目のケルヴィン・ガステラム戦でも同じような戦いで、なおかつ打ち合っても勝ってたんで。自信が確信に変わったのかな、と。」
――では完全復活と見ていいわけですね。
「ただ、『それがはたしてアデサニヤにも通用するのか?』ということだと思うんですよ。アデサニヤは手足が長くて打撃がすごくテクニカルというだけでなく、相手がプレッシャーをかけてきたらそれを回避するためにバックステップをして、サイドに回りこむ動きをよく入れる。正面からの打ち合いはしないタイプじゃないですか。」
イズラエル・アデサニヤ/Getty Images
——相手に打たせずに、自分の打撃を入れることができる選手ですね。
「ウィテカーは踏み込みが速いので、前回のアデサニヤ戦でも遠い間合いから踏み込んで、一発目の打撃はしっかり当ててるんですよ。でも、一発当てて『いける!』と思って追ったところで、アデサニヤのカウンターをもらってしまっていた。だから今回の再戦でウィテカーは、一発当てたあと『二の手、三の手を出すべき時なのか、逆にここはいかずに引くべきところなのか』を考えてくるんじゃないかという気がするんですよね。」
――ホントに行くべき時なのかどうか、勝負所の見極めですね。
「前回と同じ轍を踏まないためにも、そこがキーになってくると思います。」