【UFC281】全勝王者と最強挑戦者がついに激突!「“キックボクサー”がUFCの頂点に立ってしまうかもしれない」
(写真左より)イズラエル・アデサニヤ、アレックス・ペレイラ/Getty Images
日本時間の11月13日(日)、アメリカ・ニューヨーク州ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで『UFC281』が行われる。
メインイベントは、ミドル級王者イズラエル・アデサニヤが、かつてキックボクシングルールでKO負けを喫したアレックス・ペレイラを迎え撃つ6度目の王座防衛戦。この一戦の見どころを“世界のTK”髙阪剛に語ってもらった。
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イズラエル・アデサニヤ/Getty Images
――『UFC281』のメインイベントは王者アデサニヤvs挑戦者ペレイラのミドル級タイトルマッチが実現します。アデサニヤにとってペレイラは因縁の相手と言っていいですよね。
「そうですね。キックボクシングルールで2度敗れていて、しかも2戦目は完全にKOされていますから。自分もあのキックボクシングマッチの映像は観ましたけど、そんな昔の試合でもないんですよね。」
――アデサニヤがKO負けしたのは2017年3月で、翌18年2月からUFC参戦ですからね。
「だからアデサニヤがまだ、MMAを並行してキックボクシングのリングにも上がっていた時期だったんだなと思って、そこに合点がいったんですよ。MMAとキックボクシングの打撃って似ているようで違うので、アデサニヤはキックボクシングの打撃からMMAの打撃にアジャストしていっている最中に、あの試合をやってるんですよね。
MMAだと打撃だけじゃなく、相手の組みも警戒しながら試合しなきゃいけないので、それを自分の打撃スタイルにうまく当てはめることを模索している状態だったんだと思うんですよ。だからキックでのペレイラ戦では、相手との距離を詰める際に半歩深くて、バックステップされたときに前のめりに崩れていた。アデサニヤがキックボクシングしか頭になかったら、ああいう体の崩れはなかったんじゃないかと思うんですよね。」
――ある意味で、キックボクサーとMMAファイターがキックの試合をやった感じになっていた、と。
「そんなことが起こっていたと思うんですよ。そしてペレイラのほうは自分が観た感じだと、自分の距離設定と自分のタイミングじゃないとパンチを出さないタイプの選手なんです。ちゃんと当てられる状況でのみ打撃を出して無駄撃ちしない、選んで打っているという印象がありますよね。
対してアデサニヤのほうは、どちらかと言うとどんどんプレッシャーをかけていってフェイントを入れたり、自分から攻撃をして崩そうとしている。それでペレイラ戦ではカウンターをもらってしまっているんですね。」
――今回は、それがMMAルールになったらどうなるか、ということですよね。
「そういうことですね。そしてペレイラのUFCに来てからの戦いを見ると、キックボクシング時代とおおよそ変わってないんですよ。自分からバンバン手を出しながら前に出ていくというよりは、距離を保ちながら、“的”が射程範囲内に入ってきたときに、針の穴に糸を通すようにパンチを打ち抜くという。打って、それが当たるべきところに当たってない打撃のほうがたぶん少ないんじゃないかな。」
——相当な命中率の高さだ、と。
「パンチをボディにも散らしますけど、基本、顔面のガードが一瞬空いたところに、自分のタイミングでパーンと打ちにいくという、精密機械のような試合のやり方をやってますよね。ペレイラの他のキックの試合も観たんですけど、自分のタイミングになった瞬間のハンドスピードと当てる感覚はすごく優れたものがあるなと思いましたね。」