史上初の「投打規定Wクリア」を達成した大谷翔平のピッチングを日本一の投手コーチ佐藤義則氏が徹底分析!「フォームに力みがなかった」
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エンゼルスの大谷翔平は現地10月5日(日本時間6日)、敵地でのアスレチックス戦で5回を投げ、1安打6奪三振1失点で降板した。チームは2-3で敗れて今季16勝目はならなかったが、MLB史上初となる”投打W規定クリア”という偉業を成し遂げた。この大谷のピッチングは、エキスパートの目にどう映ったのか。田中将大やダルビッシュ有を育て、「日本一の投手コーチ」と称された佐藤義則氏に、この日の大谷の投球内容とシーズンを通した総括をしてもらった。
8イニングを投げた前の試合と同じように、フォームに力みがなかったのが印象的で、コントロール良く投げられていたと思う。以前の試合では多くのイニングを投げないという意識があったのか一球一球に力みが感じられたが、今回は最終戦で1イニング投げれば規定到達ということもあり、リラックスして投げていたように見えた。
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1点は取られたけれども、5回を1安打6奪三振に抑えている。普段もあれくらいリラックスして投げられたら、力んでひっかけるようなボールがなくなり、もっとコントロールが安定するだろう。
この試合で規定投球回数に達し、すでに到達していた規定打席とあわせて、メジャー史上初の「W規定到達」を成し遂げた。これはもう凄いというより他ない。投打の両方で出場し、なおかつ162回を投げるというのは相当にハードルが高い仕事だ。
メジャーの場合は100球くらいで交代させられるので、162イニングを投げるには、それなりの試合数が必要になる。中6日のローテーションで回っても、5回以内でノックアウトされたり、思ったよりも球数を投げてしまうと、シーズン終盤にしわ寄せが来る。そういった困難な作業をしっかりクリアできたのは、本当に素晴らしい。やはり体の強さもあるだろう。史上初の「W規定到達」には、心からおめでとうと言いたい。
安定感は2.33という防御率にも出ている。最終的に15勝で終わったが、打線と噛み合ったら、もっと勝ち星も増えていただろう。奪三振にしても、166イニングで219三振というのは素晴らしい数字。私なんて、200イニング以上投げても、200しか三振を取れなかったんだから(笑)。