「アスリートと子どもの遊ぶ道を作りたい」 元総合格闘家・大山峻護がコロナ禍で見出した社会貢献のカタチ
2021年6月。相変わらずコロナ関連のニュースがメディアを賑わし、開催が間近に迫ったオリンピックに批判的な意見が溢れかえった日本列島。そんな暗い雰囲気を吹き飛ばすかのように、多くのアスリートが集いオンラインイベント「出会いの日」が開催された。
イベントのきっかけは伝説の柔道家の一言から
「出会いの日」は、一般社団法人You-Do協会の代表を務める元総合格闘家・大山峻護さんのかけ声で集まったトップアスリートと障がいのある子どもたちが、一緒に遊ぶことによって、参加者に明日への活力を持ってもらうことを目的としたイベントだ。大山さんがこのイベントを開催することになったきっかけは、全日本柔道連盟会長の山下泰裕さんがある表彰式で語った「アスリートには凄い力がある。アスリートが社会貢献をすることで、世界平和に繋がる。僕はそれを信じている」という言葉だった。この言葉を聞いた瞬間、大山さんは「全身に稲妻が走ったかような感覚」に襲われ、その場で「自分にしかできないことは何か」と思考をめぐらせ、このイベントの構想が浮かび上がったという。
わずか数分の間でイメージを描いた大山さんは、すぐに筋ジストロフィーと闘いながら歌い続ける歌手・小澤綾子さんに連絡し、自らの構想を話した。すると「大山さんなら絶対にできると思うから、ぜひやって欲しい!」と言われ、大山さんの心に火が灯った。その後、たくさんのアスリートと連絡をとり、数日後には、数十人のアスリート達が賛同の意を表してくれたという。
参加者が集まるヒミツは、大山さんの趣味にあり!?
大山さんと交流を持っている人なら、誰もが感じていることがある。
「なんで大山さんは、いつも誰かのために一生懸命なんだろう」。
簡単そうでなかなかできないこのことを、大山さんはいつも当たり前のように行っている。その一つに「ご飯会」がある。大山さんは、出会った人が魅力的だと、すぐに「ご飯会」という名の食事会に誘い、人と人をつなげてそこから生まれるコラボレーションを楽しんでいる。
筆者も何度か「ご飯会」に参加させてもらったことがあるが、そこで気付いたのは、大山さんは気遣いの天才でもあるということ。一人で寂しそうにしている人がいれば、すぐに声をかけて、人に紹介する。一生懸命に誰かと誰かをつなぎ、場が盛り上がったことを確認すると、「お役御免」とばかりに眠ってしまう。それが飲食店の中であってもだ。そんな一生懸命さと愛嬌を併せ持つからこそ、大山さんの周りには、いつもたくさんの人が集まってくる。
「この人とこの人が出会ったら、面白そうなことが起きそうだなって、考えるのが好きなんですよ。ご飯会は、僕の趣味ですね」。
これまで開催したご飯会は、数百回に及ぶ。「大山さんのおかげで出会わせてもらった」と考えている人は数知れない。だからこそ、多くの人が大山さんのために協力したいと思うのだろう。