羽生結弦がオヤジジャーナルを変えた 変貌するスポーツ紙の現在地
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“異変”は明らかです。昨年からスポーツ新聞に大きな変化が起きているのです。
メディア関係者が言います。
「スポーツ新聞と言えば、おじさんが発信しておじさんが読むことから『オヤジジャーナル』と呼ばれ、野球と競馬が長年、キラーコンテンツとされてきました。なぜこの二つが常に一面を飾るのかといえば、『即売で売れる』という揺るぎない理由があったわけです。ところが現在、各社が注力する話題に『羽生結弦』が加わりました。なぜか。『羽生は売れる』がデータ的にも“定説”となっているのです」
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一例を挙げます。スポーツ各紙は昨年11月上旬、羽生さんの単独公演となる初のアイスショー「プロローグ」の開幕や、12月上旬に発表された「2・26東京ドーム公演」、そして年が明けてからは1月上旬の「3・11宮城でアイスショー開催」といった話題を一面で取り上げ、エース級のカメラマンが撮影した写真を大々的にフィーチャー。そして「羽生番」の記事で彩り、即売の部数増につなげているのです。
「新聞業界に限らず、出版業界も『紙からネット』への流れは止まらず、部数減をデジタルでの収益で補わなくてはなりません。宅配で安定した部数が見通せる一般紙や地方紙に比べて、即売が命運を握るスポーツ紙にとっては死活問題で、各社とも過去にないほどの創意工夫を求められている。そんなときに羽生さんが競技の第一線から退き、プロフィギュアスケーターに転向することになった。一部にはそれを『引退』としてスクープする社もありましたが、実態としては引退どころか活躍のフィールドが広がっている。各紙の羽生番はその志に共鳴しています」(前述のメディア関係者)
羽生サイドのスポーツ紙に対する対応も、この“流れ”に寄り添っているとの声も聞かれます。