運動はアンチエイジングに絶大な効果 「BDNF」とは
以上を平たく表現すると、BDNFは脳のアンチエイジング物質と言えるのではないかと思います。(4)の食欲抑制に関しては過食、摂食行動異常のあるマウスにBDNFを投与すると、摂食行動異常が改善し食欲が抑制されることが分かっています。私は特に(3)の神経細胞死の阻止効果に興味を持っています。アルツハイマー病はアミロイドβによる神経細胞の死滅が原因ですが、BDNFの投与によって神経細胞死が抑制されることが分かってきました。運動によってBDNFが増加することで認知症の予防につながると予想されるのです。すなわち、人生ラスト10年の3つ目の節目の認知症に関して運動による予防効果が期待できるのです。BDNFの登場によって、運動が脳にも良いことが十分に納得できました。
運動によって成長ホルモンが増加する点は、皆さんご存知だと思います。成長ホルモンには身体のアンチエイジング効果があります。すなわち、成長ホルモンは身体のアンチエイジング物質と私は考えています。以下、効果を列記します。
(1) 疲労回復 細胞修復
(2) NK細胞の増加 免疫力向上
(3) メラトニン分泌 良眠
(4) 脂肪分解 肥満抑制
これらの成長ホルモンの効果は疲れている時ほど運動したほうが良いことが分かります。運動は成長ホルモンの増加によって身体のアンチエイジング効果をBDNFによって脳のアンチエイジング効果をもたらすのです。高齢であればあるほど、運動が大切なのです。栄養と運動の両面を重視したメディカル・ウォーキングは超高齢社会において今後は益々重要性が高まることでしょう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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秋山 和宏(あきやま・かずひろ)
医療法人財団松圓会 東葛クリニック病院 副院長・消化器外科部長
一般社団法人 「チーム医療フォーラム」 代表理事、多摩大学大学院 医療・介護ソリューション 研究所フェロー
<経歴>
90年 防衛医科大学校卒業
東京女子医大消化器病センター外科勤務
99年 東葛クリニック病院(千葉県松戸市)外科勤務
07年 多摩大学大学院経営情報学研究科卒業
09年 現職
医学博士、MBA(経営学修士)、社会起業家
元日本外科学会専門医、元日本消化器外科学会専門医、
日本静脈経腸栄養学会学術評議員・代議員、日本褥瘡学会評議員
日本ウオーキング協会 ヘルスウオーキング指導士
<専門分野>
チーム医療、NST(栄養サポートチーム)、褥瘡
<著書>
「医療システムのモジュール化―アーキテクチャの発想による地域医療再生」(白桃書房)