「ニューロフィードバック」機械がアスリートを育成する仕組みとは

タグ: , , , , 2022/9/30

ブレインテックの可能性

ニューロフィードバックをはじめとした、脳科学とテクノロジーを融合させた技術の研究分野を「ブレインテック」と呼びます。

ここでは、そんなブレインテックの可能性とスポーツへの応用について解説します。

ブレインテックはさまざまな業界から注目を集めている

ブレインテック分野の研究はさまざまな業界から注目を集めています。

特に、「言葉や文字で伝えにくい技術の継承」においてこのブレインテックの活用を行うことで、業務へ役立てようとする取り組みが盛んです。

熟練の「微妙なさじ加減」「審美眼」と呼ばれるような定性的な表現でしか把握することのできない技術を習得することは多くの時間を要します。

そこで、ブレインテックを活用し脳波データを元にAIでモデリングを行うことで、定量的なデータとして収集することを可能にしたという実証例もあります。

こうして集めたデータを用いて、これまで人力に頼っていた業務を自動化することで「人材不足」「人材育成」「作業効率」など多くの課題を解決することができる可能性を秘めることから多くの業界で注目されています。





ブレインテックのスポーツへの応用例

ブレインテックはスポーツの分野でも応用に向けた研究が進められています。

トレーニングを通して、「持久力」「筋力」「瞬発力」「マッスル・メモリー」といった面での向上を期待されています。

また、ブレインテック分野では研究を進めるだけでなく、実際に機器を開発し製品化に成功した企業も存在します。

ヘッドフォンタイプの機器の内側に電極となる突起を設け、運動野に働きかけることで運動機能の向上を図っています。

また、ヘッドフォンタイプのブレインテックトレーニング機器はある国の特殊作戦を主任務とする部隊にも配備されているとされ、高いプレッシャー下においてもパフォーマンスを維持できる可能性に期待されているようです。

このように、ブレインテックはアスリートに必要な「本番でも落ちないパフォーマンス」「効率的な運動」技能を向上させる技術として注目されています。

ニューロフィードバックトレーニングは運動能力の改善に有効であることが証明されつつある

実はニューロフィードバックを運動能力向上に活かすための研究は、30年以上前から取り組まれています。

Neurofeedback training for improving motor performance in healthy adults: A systematic review and meta-analysis(Onagawa et al.,2022)では、過去30年以上に渡って行われた研究のメタ分析を行なっています。

この研究では13 件の研究を比較試験したところ運動能力に対するニューロフィードバックトレーニングの有意な効果が示されました。

運動能力の結果測定には「動作の精度」「速度」「器用さ」などの視点から検討が行われましたが、この中でも特に器用さについて大きな影響を及ぼしたとする研究結果が多く目立ったそうです。

ただし、参考となる研究が少なく純粋にニューロフィードバックトレーニングが結果を及ぼしたとすることは難しい、とも述べられています。

同時に、信頼性の高い説得力を持たせるためにも今後もデータの蓄積を行い、実証的な研究を永続的に進めることが重要であるとも指摘しています。

このように、現在はまだまだ未開拓な領域も多く存在する分野ではありますが、その分大きな魅力を秘めている可能性もあります。

今後のニューロフィードバックトレーニング技術の発展に期待しましょう。

スポーツにおけるニューロフィードバックの可能性は未知数

ニューロフィードバックは治療目的に実証されつつありますが、スポーツ分野での応用の可能性は未知数です。

未だわからないことも多いからこそ大きな可能性を秘めているかもしれません。

まだ身近ではない技術であっても常にアンテナを張り、広い視野を持ち続けることが周囲との差を広げることにも繋がるのではないでしょうか。

[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。

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