片頭痛持ちの方必見「もう 鎮痛剤に頼らない!」新しい頭痛改善習慣を薬剤師が解説
「突然ズキンズキンと頭が痛くなり、動けない日もある」
「子どもを産んでから、頭痛が起こりやすくなった」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
「片頭痛」は、思春期頃から発症することが多く、成人の8%が罹患するといわれています。吐き気を伴うことも多々あるため、早めに対策しておくことで日々を快適に過ごせるでしょう。
そこで今回は、「片頭痛の症状・原因」と「要因に合わせてアプローチする漢方薬」についてご紹介します。
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1. 片頭痛の症状と原因をおさらい
片頭痛の原因や症状には個人差があります。症状の特徴や原因を理解して、片頭痛予防や対策をすることが大切です。
1‐1. 片頭痛の症状と痛みの特徴
片頭痛は、頭の片側または両側に「ズキンズキン」と拍動する痛みが出ることが特徴です。吐き気がしたり、光・音・ニオイに敏感になったりするなどの随伴症状を伴うこともあります。
症状は発作的にあらわれて、短ければ4時間程度で緩和しますが、ひどいと1週間ほど続き、日常生活に支障をきたすこともあります。
日本神経学会の発行する「頭痛診療ガイドライン2021」によると”片頭痛発作は、時間経過として予兆期、前兆期、頭痛期、および回復期に分けられる”(※2)とあります。とくに、片頭痛を繰り返す人は「なんとなく頭痛がきそう」という予感がすることが多いかもしれません。予兆期に入ると、その数時間後に頭痛が起こるといわれています。
〈予兆期の症状〉
だるさや倦怠感、イライラ、集中力の低下、食欲の増加、首や肩の凝り、むくみ
また、予兆期の後(片頭痛の起こる直前)に「前兆」を伴う場合があります。
前兆期は、約5~60分続き、その後1時間以内に頭痛発作が起こるといわれています。
〈前兆期の症状〉
目の前で光がチカチカ・キラキラする
手足が痺れる、しゃべりにくい、めまいがする
視野の一部にギザギザしたものがあらわれる、一部が欠ける
(※1)(※2)
1‐2. 片頭痛が起こる原因
片頭痛は、ストレスの寛解時(緊張が緩んだとき)に起こりやすく、寝不足や疲労、光や音、ニオイの刺激が原因で発生することもあります。
また、月経前から月経時・産後に女性ホルモンが減少し、それに伴いセロトニン分泌が減少することも原因のひとつです。
片頭痛のメカニズムは明らかにはなっていませんが、「血管説」「神経説」「三叉神経血管説」の3つがあります。
・血管説
片頭痛の前兆期には、血中の血小板からセロトニンという物質が過剰放出されて、脳血管が収縮します。そうすると、脳の血流が減少するため、先程ご紹介した前兆期の症状が生じます。その後、セロトニンが代謝されると血中のセロトニンが枯渇し、血管の拡張が起こります。その結果、痛みを引き起こす物質が放出され、片頭痛が生じるのです。
・神経説
脳の神経細胞の活動異常が原因といわれています。
・三叉神経血管説
光や音、ニオイなどによって、血管周辺にある三叉神経が刺激され、三叉神経からカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が放出されます。それによって血管が拡張し、痛みが起こると考えられています。
また、三叉神経はこめかみの近くにあるため、刺激されることで炎症物質が産生され、さらに血管が拡張し悪循環になります。
(※1)(※3)
2. 片頭痛には漢方治療がおすすめ
片頭痛の対策・予防には「食事で腸内環境を整える」「運動習慣をつける」「ストレスをうまく発散する」など、さまざまなセルフケアがありますが、「漢方薬」も片頭痛のような不調におすすめです。脳神経外科の頭痛治療でも実際に使われています。
まずは、生活習慣を見直して、自分の片頭痛の要因がなにかを理解しましょう。そして、要因と体質に合った漢方薬を選ぶことをおすすめします。
2‐1. なぜ片頭痛に漢方が有効な理由
漢方において片頭痛は、頭部の水の代謝が滞ることで、血管が圧迫されて血流が悪くなったり、血管の拡張が神経を圧迫したりすることで生じると考えます。血流が悪くなると、酸素や栄養を運ぶ血液が頭まで届かず、いわゆる酸欠状態にもなります。
さらに、ストレスや疲労などにより、血管が収縮して血流が悪くなったり、水分循環が悪くなったりすることも原因のひとつと考えられます。
片頭痛には、痛みを抑える作用や自律神経のバランスを整える作用のある生薬、血液の流れをよくする血流改善作用や水分の循環をよくする作用がある生薬を含む漢方薬から選びます。
漢方で血流が改善すると、脳に酸素や栄養を運ぶ機能が向上します。そのため、片頭痛予防や対策になるほか、疲れにくいからだも手に入れられるでしょう。さらに、水分の循環がよくなると、からだの外に老廃物や毒素が排出されるため、冷えや水太りなどの改善にもつながります。
2‐2. 片頭痛におすすめの漢方薬
血流や水分循環を改善することで脳に酸素や栄養を運んだり、血液を押し出すエネルギー(気)を充実させ巡らせたりするはたらきのある漢方薬などがあります。
また、月経前後や産後など、女性ホルモンの減少に伴って生じる片頭痛には、自律神経のバランスを整え、血液を補う効果が期待できる漢方薬がおすすめです。
漢方薬は副作用が生じにくいとされていますが、自分に合っていないものを服用したり、多く服用したりすると、効果が出ないばかりでなく副作用が生じることもあります。
そのため、自分に合った漢方薬を選ぶことが大切です。以下に、片頭痛の予防や対策におすすめの漢方薬をご紹介します。
<片頭痛でお悩みの方におすすめの漢方薬>
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):月経痛や肩凝りが気になる方
血の滞りを取り除くことで、血液循環と水分代謝を促します。また、脳の余分な水を取り除くことで、頭痛の緩和が期待できます。
・釣藤散(ちょうとうさん):のぼせ、めまいが気になる方
胃腸を丈夫にし、水分循環を整えます。また、自律神経の乱れを整え気の上昇を抑えるため、精神的なストレスで血圧が上昇する場合にも適しています。
・呉茱萸湯(ごしゅゆとう):手足が冷えやすく、頭痛で吐き気を伴う方
おなかを温めて冷えを取り除くことで、「気・血」の流れを促します。また、胃腸のはたらきを整えるため、吐き気を鎮める効果も期待できます。
(※4)
2‐3. 漢方と鎮痛剤は併用できる?
すでに鎮痛剤を常用しており、漢方薬と一緒に飲んでよいかというご質問は多くあります。
最近では、西洋薬と漢方薬の併用も多くなり、それぞれの長所を活かしながら短所を補うような、効果的な治療が期待される場合もあります。
しかし、なかには併用することで一方の薬効が十分にあらわれなかったり、 反対に薬効が増強されたりするなど、相互作用が起きる場合があります。
漢方薬に限らず、2種類以上の薬を併用する場合や相互作用が不安な場合は、かかりつけの医師、薬剤師または登録販売者に相談するようにしてください。