円形脱毛症(脱毛症)とはどのような症状かご存知ですか?

タグ: , 2025/10/16

Q:円形脱毛症を改善する方法はありますか?

円形脱毛症を改善するためには、専門医による早期診断と適切な治療が最も重要です。そのうえで、日常生活でできる工夫が回復を助け再発予防にもつながります。

専門医の診察と治療
皮膚科専門医に相談し、ステロイド外用・注射、局所免疫療法、JAK阻害薬など、症状に合った治療を選択しましょう。

生活習慣の改善
十分な睡眠は、免疫バランスを整えるための基本です。あわせて、バランスのとれた食事も欠かせません。特に、タンパク質・鉄・亜鉛・ビタミンを意識することで、体の回復力や抵抗力を高めることができます。さらに、適度な運動はストレスの軽減や血流の改善に役立ち、心身の健康維持に大きく貢献します。

ストレス対策
精神的ストレスは円形脱毛症の再発リスクになります。リラクゼーションやカウンセリングを取り入れて心身を整えましょう。

頭皮へのケア
– 過度なブラッシングや牽引は避ける
– 優しく洗髪し、しっかり乾燥させる
– 脱毛部は紫外線から守る
– ウィッグを使う場合は通気性のよいものを選ぶ

円形脱毛症は「治療」と「生活習慣の改善」の両輪で回復が期待できます。免疫を整える生活と、頭皮に優しいケアを続けることが、円形脱毛症の改善と再発予防につながります。

Q:円形脱毛症の治療法にはどのようなものがありますか?

脱毛症の治療の基本方針は「過剰な免疫反応を抑えつつ、毛包の回復・発毛を促す」ことです。軽症か重症か、脱毛範囲はどの程度かによって選択される治療法は異なります。

ステロイド局所療法(外用・局所注射)
脱毛部にステロイドを塗ったり注射したりして炎症を抑える方法です。小さな範囲では第一選択となります。

ステロイドパルス療法(全身投与)
急速に進行する重症例(全頭型・汎発型)で行われることがあります。大量のステロイドを短期間で点滴し、強力に炎症を抑え込みます。入院下で行われるのが一般的です。

光線療法(紫外線治療)
紫外線をあてることで免疫の働きを落ち着かせ、毛根の回復を促します。

血行促進療法
フロジン液®などを使って頭皮の血流を良くし、毛根の環境を整えます。補助的な治療に位置づけられます。

JAK阻害薬(内服薬)
自己免疫のシグナルを遮断する新しい薬で、難治性の円形脱毛症にも効果が期待されています。バリシチニブ(オルミエント®)、リトレシチニブ(リットフーロ®)などが承認されています。

局所免疫療法(かぶれ療法)
特殊な薬品でわざと軽いかぶれを起こし、免疫の働きを変える治療です。副作用が少なく、ガイドラインでも有効性が評価されています。

STA動注(浅側頭動脈への動注治療)
超音波で確認しながら極細針で炎症をおこしている血管に薬剤を届け、頭皮の異常な血管(モヤモヤ血管)を減らすことで毛根環境を改善。外来で受けられ薬を直接使わず、副作用が気になる方にも適した新しい治療法です。

円形脱毛症の治療にはどんな副作用がありますか?

治療によっては副作用が出ることがあります。

ステロイド局所療法:
皮膚がへこんだり、色が白くなることがある。

ステロイドパルス療法:
むくみ・不眠・胃の不快感などが出る場合があり、血糖値上昇や感染症リスクもある

JAK阻害薬:
感染症にかかりやすくなる、肝機能や血液検査の異常が出る場合がある

動注治療:
注射部位の内出血などがありますが、軽度であることが知られています。
治療の効果とリスクを理解し、医師と相談しながら進めることが大切です。

Q:円形脱毛症に長年悩んでいます。市販の育毛剤や内服薬を試してきましたが効果が乏しく、副作用も心配です。薬を使わずに治療する方法はありますか?

従来、脱毛症の治療といえば生活習慣の改善や外用薬(育毛剤)、内服薬(ホルモン関連薬や発毛促進薬)が中心でした。しかし、近年の研究で、慢性化した円形脱毛症(脱毛症)の背景には「モヤモヤ血管」と呼ばれる異常に増殖した血管が関与していることがわかってきました。これらの血管は頭皮に慢性的な炎症や血流のアンバランスを引き起こし、毛根の機能低下や抜け毛につながると考えられています。

この新しい知見に基づき、「STA動注」という方法を脱毛症に応用しています。超音波を用いて27G(ゲージ)という非常に細い針で血管を穿刺し、異常な血管が集まる頭皮の部位まで薬剤を届けることで、モヤモヤ血管を選択的に減らし、毛根の環境を改善します。薬を直接使わずに、頭皮の血流と炎症をコントロールすることができるため、従来の治療で効果が乏しかった方や、副作用が気になる方にも新しい選択肢となっています。

<参照>
(日本皮膚科学会 編. 円形脱毛症診療ガイドライン 2024. 日本皮膚科学会雑誌, 134(3): 323–370, 2024.
Gilhar A, Etzioni A, Paus R. Alopecia areata. N Engl J Med. 2012;366(16):1515-1525.
Alkhalifah A, Alsantali A, Wang E, McElwee KJ, Shapiro J. Alopecia areata update: Part I. Clinical picture, histopathology, and pathogenesis. J Am Acad Dermatol. 2010;62(2):177–188.
Crispin MK, Ko JM, Craiglow BG, et al. Safety and efficacy of the JAK inhibitor baricitinib for the treatment of alopecia areata: Phase 2 results. N Engl J Med. 2022;386:1687–1699.
King B, Ohyama M, Kwon O, et al. Two Phase 3 Trials of Baricitinib for Alopecia Areata. N Engl J Med. 2022;386:1687–1699.
Gupta AK, Carviel J, Abramovits W. JAK inhibitors for alopecia areata: a systematic review and meta-analysis. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2023;37(2):215–225.
Messenger AG, McKillop J, Farrant P, McDonagh AJG, Sladden M. British Association of Dermatologists’ guidelines for the management of alopecia areata 2012. Br J Dermatol. 2012;166(5):916–926.
島田 謙. 円形脱毛症に対する局所免疫療法. 皮膚病診療 2019;41(5):563–568.
Shibuya M, Okuno Y, et al. Abnormal neovascularization (“moyamoya vessels”) and chronic inflammation in musculoskeletal pain: potential targets for embolization therapy. Pain Physician. 2021;24:E123–E134.
奥野祐次, 澁谷真彦. 運動器カテーテル治療(TAME)による異常血管へのアプローチと慢性炎症制御. 日本IVR学会雑誌. 2022;37(1):45–52.





[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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