小麦を食べ続けることで起こる、「腸もれ」とは?
「長生きしたけりゃ小麦は食べるな」(アスコム刊)※の著者で医師の本間良子氏が今回取り上げるのは「リーキーガット症候群」という現象だ。
英語で「ガット」は腸、「リーキー」は漏れるを意味する。つまり日本語に訳すと『腸もれ』といわれる現象だという。腸の粘膜の細胞が傷ついて炎症を起こし、その細胞にすきまができることで、腸壁にごく微細な穴があいたような状態を指す。何が問題になるかといえば、すきまができることによって、細菌や毒素、未消化の食べ物などが臓器や血管へ移行することで、炎症や食物アレルギーの引き金となるというのだ。
このリーキーガット症候群を引き起こす原因として鍵を握るのは「ゾヌリン」と呼ばれる物質。ゾヌリンは小麦を食べたときにグルテンを構成するグリアジンによって、分泌される。ここで小麦摂取が問題となる。
「小麦を毎日食べていると、ゾヌリンが大量に分泌され、腸と腸のあいだが開きっぱなしになってしまうのです」と本間氏。本来は腸の細胞と細胞の間はしっかりと閉じられて、必要なときだけ開くようになっているが、『開きっぱなし』になってしまうのに注意が必要だという。
たとえば1日の食事を朝はパン、昼はパスタ、夜は小麦粉を使ったシチューなど一日中、小麦を摂り続けていたとしよう。
そうすることで「腸もれ」を起こし、皮膚に「もれ」が起きれば、アトピー性皮膚炎などを起こす可能性も。
さらに怖いのは、これが行きつくと「脳もれ」まで起こしてしまうという点だ。「ゾヌリンが血流にのって脳にいたる場合がよくあります」と本間氏。脳に設置されているバリアを開きやすくして細菌や毒素が脳に入っていくことで、ほかの臓器と同じく、脳も炎症を起こし、結果としてアルツハイマー型認知症など、さまざまな認知機能障害を起こしやすくなってしまうというのだ。
『長生きしたけりゃ 小麦は食べるな』(アスコム刊)より
小麦の慢性的な摂取によって引き起こされる「腸もれ」、「脳もれ」、いずれもすぐには気が付かないかもしれないが、放置すると深刻な状態になりかねない。では「脱・小麦」、「グルテンフリー」にどう取り組めばいいだろうか。次回はその点について詳しく見ていこう。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
※【参考文献】
『長生きしたけりゃ 小麦は食べるな』
(アスコム刊)
【著者プロフィール】
本間良子(ほんま・りょうこ)
スクエアクリニック院長。米国発達障害児バイオロジカル治療学会フェロー。
聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学病院総合診療内科入局。
副腎疲労の夫をサポートした経験を活かし、米国で学んだ最先端医療に基づく栄養指導もおこなう。
また、日本で唯一、副腎疲労、グルテンフリー外来を開設している。