「このパスタ、普通においしくない?」若者言葉がどんどん曖昧化している理由は?
「自分的には普通にいい」?自己表現は、限りなく曖昧なグレー
「このパスタ、普通においしくない?」
最近、こうした表現をよく耳にします。しかしよく考えたら「普通においしい」って、「ちょっとおいしい」でもなく「意外とおいしい」でもなく、非常に曖昧な表現です。
他にも曖昧な表現は増えています。「ナシよりのアリ」とか「アリよりのナシ」とか。またツイッターでは「わかりみが深い」という言葉をよく見かけます。これは単に「わかる」と完全に言い切らないときに使う言葉のようです。
実は、何かを評価する際に使う若者言葉が、どんどん曖昧化しているのです。いいとも悪いとも言い切らない、断定はしない。これも、他人に見られていることを前提にした、過剰な忖度が背景にあります。
オンラインの世界では、「2ちゃんねる」にせよ「食べログ」にせよ、ひとつの話題に対してさまざまな意見や評価があふれています。そんな中ではっきりと断定するには勇気がいります。誰にも否定されないように無難に答える、何ごとにもエクスキューズの余地を残すことが若者の処世術なのです。
「この新しいPOP、どう思う?」
「自分的には普通にいいと思いますけど……」
この「自分的には」や「普通に」といった表現には、発言の主体性を薄くしようという心理が透けて見えます。オトナからすると、言いたいことがよくわからないとか、自己主張が希薄だと思えるかもしれません。しかし彼らは決して「ストレートな自己表現が苦手」なのではなく、「あえて封印している」のです。本音は、しっかり持っています。
[文:ツナグ働き方研究所]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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平賀充記(ひらが・あつのり)
ツナグ働き方研究所 所長
1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を歴任。 2014年株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。2019年よりツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー就任。著書に『非正規って言うな!』『サービス業の正しい働き方改革・アルバイトが辞めない職場の作り方』(クロスメディアマーケティング)、『パート・アルバイトの応募が殺到!神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)。