【スポーツメンタル】モチベーションをあっという間に高める為の考え方
残りの時間を意識する
それが、「残りの時間を数えよう」と伝えたいです。
今を夢中に生きる10代、20代にとって、終わりなんて考えるのは大変だと思います。
こんな話をされて嫌な気持ちになる人もいると思います。
しかし、真正面から現実と向き合いたいのです。
その理由を少し気になりませんか?
良かったらお付き合いください(^^)
結論を伝えると、「人生に真正面と向き合えないと惰性に日々を過ごす」からです。
そこでさらに残酷な話ですが、アスリートとしての人生には限りがあります。
(競技によりますが40歳を前にほとんどの方が引退)
限りがあるからこそ、終わりを考えておきたいのです。
そして、終わりを意識する事であるメリットが生まれます。
それこそが、モチベーションです。
これを「期日の力」と言います。
様々な理由から、締切や期日を作ることでやる気が高まると言われます。
モチベーションが高まる脳科学的理由
期限を意識する際に前頭前野という脳の部位が重要な役割を果たしています。期限を設定すると、前頭前野が判断や意思決定に関する認知的な機能を活性化させます。また、前頭前野は、達成感や報酬に関連する神経伝達物質であるドーパミンの放出を促進することが知られています。期限を設定してタスクを完了することで、達成感を得ることができ、前頭前野からドーパミンが放出されることで、自己満足感や報酬感が得られます。
一方、期限を守れない場合には、ストレスや不安といったネガティブな感情が引き起こされることがあります。これらの感情は、副腎皮質刺激ホルモンであるコルチゾールの分泌を促進することが知られています。コルチゾールは、長期間にわたって放出されると、記憶力や注意力、学習能力などを低下させるとされています。
つまり、期限を守ることで、前頭前野が活性化され、ドーパミンが放出されることで達成感や報酬感が得られ、一方で期限を守れない場合には、コルチゾールが放出され、ストレスや不安が引き起こされ、認知機能が低下する可能性があるとされています。
モチベーションが高まる心理学的理由
●「羊飼いの課題」(Marshmallow Test) – スタンフォード大学の心理学者、ウォルター・ミシェル(Walter Mischel)によって行われた典型的な自制力実験です。この実験では、子供たちにマシュマロなどのお菓子が提供され、もし待つことができればより多くのお菓子を得られるということを示しています。
●「シカゴ大火実験」(The Chicago Firefighters Test) – シカゴ大学の経済学者、デイヴィッド・ララザレスク(David Laibson)によって行われた実験です。この実験では、消防士に対して、受験者が試験を受けた日程の前に報酬を支払うことで、受験率が増加することが示されました。
●「タイム・プレッシャー実験」(The Time Pressure Experiment) – ジョン・ダーシー(John Darley)とシート・バテルマン(Sheetal Batelman)によって行われた実験です。この実験では、学生に講義内容を聞いてもらい、その後にアンケートを記入する時間制限がある場合とない場合で、アンケートに答える傾向が変わることが示されました。
モチベーションを高める具体的な方法
●ポモドーロテクニック: 25分の作業と5分の休憩を繰り返すテクニック。作業時間の制限があることで、集中力を維持しやすくなり、やる気も保ちやすくなるとされています。
●ザイガニック効果: 未完了のタスクは、完了したものよりも記憶に残りやすく、そのことが気になって思考がそちらに向かってしまう現象。この効果を利用して、未完了のタスクをリストアップすることで、やる気を高めることができます。
●ドップラーエフェクト: 優先順位が高いタスクに集中していると、周りの状況に気づきにくくなる現象。この効果を防ぐためには、定期的に周りを確認することが重要だとされています。
まとめ
締切がない、期日がないからモチベーションが高まらないとも言えます。
その際に終わりを考えると、強烈な不快なイメージを抱きます。
多くの人が理想的な未来を描きたいものです。
しかし、同時に最悪な未来も描きたいのです。
なぜならば、
脳は快を求めて、不快を避ける性質があります。
このモチベーションに関しては快の方が高まりやすい人もいれば、不快を避ける方がモチベーションが高まる人がいるのです。
理想的な未来を描くのが出来ない人は、最悪な未来を描くことで気持ちを高めていく方法も試してみてください。
現役時代の自分に終わりを考えてもらえたらどんな未来になっていたかな?と思います。
たらればの話ですが、もっと活躍してたかもしれませんね(笑)
それくらい、理想と現実の乖離(かいり)は辛いものです。
指導者の評価だけでなく、チームメイトからどう思われるか?気にし過ぎてしまう自分でした。
だからこそ、失うものは無いと気付けたら、人って一気に変わるんですよね。
その点は社会人になってから気付きましたが…笑
この話はまたどこかで出来たらと思います。
最後までお読み頂き有難うございました。
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人
1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。