全てのスポーツマン必見!辻褄の合わない信念はモチベーションを下げる?
「常に〇〇でなければならない」思考はモチベーションを下げる?
「常に〇〇でなければならない」と強く意識してネガティブな思考を生み出してしまう考え方のことを「不合理な信念」と呼びます。この、自身の思いとは関係のなく思考を拘束されてしまう不合理な信念は、モチベーションや健康状態に大きく影響するようです。
“I must do this!”: A latent profile analysis approach to understanding the role of irrational beliefs and motivation regulation in mental and physical health(Turner et al.2022)によると、不合理な信念を持ちモチベーションの下がったスポーツ選手よりも環境に合わせて柔軟に信念を持ったモチベーションの高いスポーツ選手の方が良好な健康状態を示したそうです。
特に、環境に応じて融通を利かせることのできない不合理な信念を持つ学生には無気力さが目立ちました。このように、自身の持つ信念はモチベーションだけでなく健康状態にも影響するようです。
モチベーションの維持・向上には「自分にしかない」信念を持つことが重要
道理の通っていない、非論理的な信念はモチベーションの低下を招いてしまいます。モチベーションを維持し向上させるためには、「〇〇でなければならない」と考えるのではなく「自分は〇〇であるから〇〇をするのだ」と自信を持って説明できる自律した信念を持つことが重要です。
納得のいかない目的や指示を優先してしまいそうになった時は、自分にしかない信念を持つことを意識しましょう。
アスリートであった事例
実際に私が見てきた選手の中で辻褄が合わない信念を持つケースを見受けます。特にモチベーションの起伏が激しかった選手の事例をご紹介します。
この選手はスキージャンプ選手で、次回の大会で結果を残せないとオリンピックの道が途絶える瀬戸際の選手でした。だから、彼は「オリンピックでは金メダルをとれたら死んでもいい!」と豪語します。まさに外発的動機の典型事例なのですが、このような動機づけだとどうしても試合でいいパフォーマンスを発揮し辛いですし、何よりもモチベーション維持が大変でした。
結果的に、彼は結果を残すことができませんでした。あれだけ豪語していましたが死んでもいいという気持ちではオリンピックまで持たないのです。
だからこそ、自分にしかない信念を持つ上でも内発的動機がキーポイントになります。それは「競技の好きなポイント」「楽しいと思える理由」です。殆どの方が理由なんてないと言います。特に楽しくやっている選手ほどモチベーションを高く維持できてます。
死ぬ覚悟以上に、競技をいかに楽しめるか?それこそが辻褄のあったモチベーションになるのです。ご参考までに。
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人
1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。