ライバル選手と差をつける”アスリートのためのライフスキル”
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]
成功と失敗を繰り返しながら日々多くの練習を繰り返しているアスリート。近年、社会生活においてより良く生きていくためのスキルとしてメンタルトレーニングの中でも”ライフスキル”が注目されています。ライフスキルを意識し、身につけることで日常生活におけるあらゆることが円滑に進み、格段に生活が豊かになります。今回は、ライフスキルについてお話します。
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世界的にも重要視される”ライフスキル”
世界保健機関(WHO)から”日常生活に生じるさまざまな問題や要求に対してより建設的かつ効果的に対処するために必要な心理社会的能力”と定義されている”ライフスキル”です。世界的な教育フォーラムにおいても”万人のための教育”とも称されます。
単に生活に必要な技能だけではなく『習得することは国家としての目標達成や個人・社会が必要とするニーズを大きく上回っている』と指摘されたことからライフスキル教育の重要性が大きく注目されるようになりました。
わかりやすく簡単に言えば、社会生活で自立し、円滑に良く生きていくためのスキル。集団生活での人間関係を築くために必要となるスキルでもあります。言葉として意識付けをすることで自分は日頃行えていなかったことなどを再認識し仕事などをより円滑に進めることができます。
ライフスキルという言葉だけを聞くとピンとこない人も多いと思いますが、物心ついた頃から家族など関わる人から自然と教えられてきたこともライフスキルの一種です。そのため育ってきた環境や得た知識が記憶に残っているのかそうでないのかによって多少の個人差が生じます。
しかし常日頃、自然に行っている会社のマニュアルや学校の規則などで定められていることもライフスキルの要素が多く入っているため、多くの人が義務教育の学校生活を過ごすことである程度のライフスキルが身につくのです。特に若者が成長する過程で直面するさまざまな問題で事件に巻き込まれる可能性も高く、社会全般において重要視するべき問題でもあります。
もちろん学問のみならず、教育現場においてもライフスキルを教える指導者の知識や認識も非常に大事な課題となってきました。エイズなどの感染症や若年妊娠などの性的問題、飲酒や喫煙、ドラッグやハーブなどの薬物乱用、そして自殺にも繋がりかねないうつ病などメンタルヘルスの問題を早期発見や予防するためにもライフスキル教育は世界各国でも重要視されている問題があります。
特に女児・女性にとってライフスキルを向上させることは、”リプロダクティブ・ヘルス/ライツ”に繋がる問題だと言われています。リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、国際人口開発会議において『女性の健康』という視点で月経、避妊、中絶や出産、婦人科的な疾患などの性と生殖に関わる問題全てを捉え直す新しい概念として提唱されているものです。
女子差別撤廃条約においてもリプロダクティブ・ヘルス/ライツは、女性人権の一種として”いつ子供を産むか産まないかの自由、安全で満足いく性生活、安全な妊娠や出産、子供の健康な発育など健康支援の必要性も重要視されているのです。