アスリートにオススメ、お手軽メンタルトレーニング”一点集中法”
スランプでも心強い、”一点集中法”
集中力を高める方法の中で最も手軽なのが一点集中法になります。メンタルトレーニングの一種で道具などを一切使用しないため、簡単に行うことができます。この方法のメリットは、短期間で集中力をあげたり、途切れた集中力を回復させることも可能なことになります。
たとえば起きてすぐや今から練習したり、試合に挑む前に有効なトレーニング方法です。また頭がしっかりしている状態でもやるべきことが多く注意力が散漫になってしまいそうな時にも使える手段です。
その際、この方法を行う前に物事の優先順位などを定めたり気が散ってしまうようなものはなるべく見えないようにすることが事前準備として必要です。すると、ミスなく、効率的に物事を進めることが期待できます。
最も厄介でアスリートが頭を悩ませるスランプのようなメンタルが安定せず、気持ちが弱ってしまっている時にも非常に心強いトレーニング方法でもあります。
作業効率が悪くなってきた時、集中できない時に是非試してもらいたい2種類の一点集中法をご紹介します。
腹式呼吸
まず1種類目は、ワードやグラフィックソフトを活用する方法。最初に行うのが時間にしておよそ10秒ほどの腹式呼吸です。心の中でゆっくり10秒数えて腹式呼吸することで気持ちを落ち着かせます。
次にワードやグラフィックソフトにて中央に点を一つ書きます。背筋を伸ばし、目線より少し下あたりに点が来るように調整します。そのまま静かに呼吸し、この点を集中して凝視します。
しばらくすると黒い点の周りにぼんやりと白い輪郭が現れます。それでも1分以上この黒い点を見ることに集中します。最後に1分ほど目を閉じて瞼の裏に残った残像に集中します。目を開ければ終了です。
カードを使う
もう1種類は、一点集中カードを利用して視覚を活用する方法。カードをお持ちでない方でも検索すれば画像が出ますので同じように作ることができます。
まずカードを20秒ほどじっと見つめた後に目を閉じ、残像を思い浮かべます。いずれの方法も最初は数秒で消えてしまう残像です。しかし繰り返していくことで1分以上も残像が残るようになってきます。30秒以下だと集中しにくい状態で60秒程度は集中できている状態になります。90秒以上であればかなり集中できている状態です。
まとめ
このように一点集中法のトレーニングを行うことで脳のエネルギーを一点に集中させることができるようになり、結果的に集中力がアップします。そして、恐怖心や不安、緊張状態までほぐします。
”集中すること”と”リラックスすること”は表裏一体です。どちらかが強すぎてもうまく行かず、絶妙なバランスの上に成り立っています。
他にもレモンの香りを嗅ぐことで交感神経は優位になり脳をスムーズに集中できる状態に導く、またコーヒーに含まれるカフェインと緑茶に含まれるテアニン2つの成分を一緒に摂ることでも集中力が高まると言われています。一点集中法と同じくメンタル的なものとして”自分は集中できる人間だ”と強く抱くセルフイメージを持つことも効果的なのです。
その点においてはセルフイメージの形成時にメンタルコーチングを受けることをお勧めします。
今回は、集中力や一点集中法についてお話しました。勉強や仕事、スポーツをする上でスキルや知識を身につけるために努力することが一番大切なことです。この土台に集中力が合わさることで完成度が更に高まります。
しかし、”人は長時間集中できない”という良い意味での開き直りも必要です。その上でお手軽に集中力を上げ、メンタルまで安定させる画期的な手法の一点集中法を是非一度試していただきたいものです。
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人
1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。