トップアスリートに学ぶ「心のマネジメント術」諦めかけた東京五輪で学んだこと
目標や夢のためなら妥協はしない
塚越 また心の整え方としてイメトレ以外にも何かノートをつけるとか日々の準備でやっていることはありますか?
藤田 そういったことでいうと、オリンピックまでの挑戦にあたって、ミーティングや日々の出来事などでも『ここすごくターニングポイントだな』と感じたときは、日付と共に、どういうことをやったかをノートに書いていましたね。あとは、別にこれがメンタルトレーニングではないかもしれないんですが、実家に帰ったりすると、必ず祖父母の家とかお墓参りにいき、仏壇に手を合わせることはやっていますね。そこで今までの自分を報告していますね。
塚越 報告することでどんな気持ちになるんですか?
藤田 ご先祖様っていつも自分のことを見守ってくれていると思うので、『いつもありがとうございます』ということを伝えに行くという感じですかね。高校時代から続けていますが、今ではリフレッシュというか、逆に行かないと気持ち悪いくらいな感じです。
塚越 ご先祖様など見えない力も自身のパワーにつなげているんですね。自分だけでやっているというよりは、色々なものに支えられて総合的に今の自分があるという意識があるというか。責任も生まれていくんでしょうね。
藤田 やっぱりそこも、プロ2年目の時に、自分のためから人のためという風に変わったという話もしましたが、そこから色々なことが変わったなという感じがします。
それもやっぱり、目標や夢があるからなのかなと思います。そこに向かってなら妥協もできないし、自分が決めたことなので最後までやり遂げたいなという気持ちがあるので、そこはぶれたくないなというのはありますね。
塚越 いつ頃からそのような自らの強い意志が生まれたのでしょうか?
藤田 小さい頃は父親がコーチだったこともあり、すごく叱られながら厳しくされながらやってきました。でもやっぱり、一回素晴らしい成功であったり、優勝や仲間と勝った時というのは言葉にできないくらい嬉しいんですよね。それをもう一回味わえるなら、別にこれくらい大丈夫という感じですかね。
塚越 改めて藤田さんのマインドセットの方法を色々聞かせて頂いて、失敗一つとっても、『良い失敗と悪い失敗』がある、『なんとなく勝てた」はアスリートにとって1番怖い』というお話は非常に興味深かったです。いわゆる一般的な『ポジティブ』とも違いますし、経験に裏打ちされた上で自分が結果を出すためのプロセスを上手に楽しんでいる、さすがだなと感じました。
藤田 こちらこそとても貴重な経験ができました。ありがとうございました!
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
塚越友子(つかこし・ともこ)
過去に自身で仕事中にうつ病を発症した経緯から、働く人のカウンセリングに注目。2008年に東京中央カウンセリングを開業。社会学修士号(社会心理学)教育学修士号(臨床心理学)。公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー。
藤田慶和(ふじた・よしかず)
ラグビースクールの監督をしていた父の勧めで7歳から競技生活をスタート。名門・東福岡高校時代に頭角を現すと全国高校ラグビーで主力として3連覇を果たす。2015年ラグビーW杯ではチーム最年少出場、今夏の東京五輪では7人制ラグビー日本代表として戦った。埼玉パナソニックワイルドナイツ所属。