元ソフトバンク絶対エース・攝津正の「心のマネジメント術」~大病を経験して変わったこと~
今に集中することの大事さ
塚越 お子さんが生まれたことによって、この先どうなるんだろうという『未来へ』の気持ちが、『今』に向かわせたんですね。父親として子供の成長をみるところに時間軸をはめると、力が湧いてきたという感じですかね。攝津さんは現役時代からずっと『今』というものに集中する力がとても強い印象を受けます。
攝津 今に意識を向ける、集中するというのはやはり大事なんですね。そういう人って少ないんでしょうか?
塚越 今に集中することをできている方は少ないですし、逆にいうと、成功している人に多いですね。どんな逆境の中でも幸せを感じられる人はそういう人なんですよね。攝津さんの病気を受容するプロセスとしては元々持っている力も手伝って、受け入れやすかったのですね。ちなみに今ご家族と過ごす中で、これに集中しているときが楽しい、といったことはありますか?
攝津 なんだろう? 子供を朝から着替えさせたりとか、幼稚園に送りに行って、仕事に行ってとかやってバタバタしていると、生きている感があるというか。ボーッとしているよりは忙しくしている方が幸せを感じますね。
塚越 お子さん小さいとやることもたくさんありますもんね。
攝津 そうなんですよ。病気のことも考えていられない感じもあります(笑い)。
塚越 攝津さんのお話をうかがっていると、現役時代も含めて「今」にすることがいかに心にとって大切なのかと改めて感じました。今回は貴重なお話をありがとうございました。
攝津 こちらこそ、ありがとうございました。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
塚越友子(つかこし・ともこ)
社会学修士号(社会心理学)教育学修士号(臨床心理学)。公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー。
コミュニケーション論の研究から興味を持った広報・PRの仕事に従事する中で過労から内蔵疾患を発症、治療生活でうつ病を発症する。キャリアチェンジを余儀なくされ、身体・精神の健康とキャリアのバランスをとること、働く人の精神的不適応と家庭のサポートについて興味を持ち、産業カウンセラー資格取得後、2008年に東京中央カウンセリングを開業。
現在は、2017年より東北大学大学院博士課程後期に在学し、自殺予防研究特に、希死念慮を抱えている人に対する家族のサポート方法について研究を行いつつ、個人カウンセリングも行っている。
攝津正(せっつ・ただし)
1982年宮城生まれ。2008年のドラフト5位でJR東日本からソフトバンクホークスに入団。中継ぎとして結果を残し、先発に転向。12年には17勝を挙げ、沢村賞に輝く。12年から5年連続開幕投手を務めるなどチームに大きく貢献。白血病を発症したことで現在は病気との向き合い方についても積極的に発信している。YouTubeチャンネル「攝津SETTSU#50」。