【職場のワカモノ生態図鑑】上司や先輩の指示で盲目的に動く「上意下達型」ではなく、いろんな人と協力しながら進める「プロジェクト型」志向
自分には、大勢の仲間がいる!会ったことないけど
若者にとって理想的な上司と部下の関係とはどういうものでしょうか。
私が多くの職場を見てきた限りの印象で言うなら、彼らが望んでいるのは「仲間」です。人生の先輩と後輩でもなく、ましてや師匠と弟子ではなく、ひとつの仕事を協力して成し遂げる仲間であることを彼らは求めています。
なぜなら、SNS村社会に住む若者は個人と個人が直接つながり、仲間関係が横に広がっていくことに慣れているからです。
SNSを駆使すれば、会ったことのない人とでも容易につながることができます。そこでは年上も年下もなく、経営者でも会社員でも、外国人であっても、個と個でつながっています。フラットでボーダレスな「ヨコ社会」です。
そんな世界で生きている若者からすれば、職場や会社という枠組みは、それほど大きな意味を持ちません。まず組織ありきで働くのではなく、なんらかの目的があって集まった人たちという感覚です。
ですから仕事の仕方も、上司や先輩の指示で盲目的に動く「上意下達型」ではなく、いろんな人と協力しながら進める「プロジェクト型」を志向します。
SNS上ではいろんな人が知恵や技術を出し合って、ボーダレスに関わっていく「コラボレーション」が当たり前に行われています。それまで接点のなかった人たちが、ツイッターでの交流を通じて新しい仕事を立ち上げるような例も決して珍しくありません。
しかも近年は、ダイバーシティやジェンダーレスが叫ばれ、多様な個性が手を取り合っていく時代感覚です。目的を達成するためなら、できる人とタッグを組んで進みたい。会社や肩書きなんて関係ない。役割分担があるだけです。
「なにを生意気な。まだ、たいした仕事もできないくせに」と憤るオトナもいるかもしれません。もちろん、彼らだって上司がやっている仕事を今の自分がこなせないことは理解しています。ただそれは、やがてできるようになればいいことです。
また一方で、自分たち若者の働きもなければ仕事は成り立たないということもわかっています。だから、上司には、お互いに協力し合える仲間として接してほしいと願っているわけです。
仲間なのですから、どちらかが威張るのはおかしいし、困っている相手を助けようとしないのもおかしい。ましてや、どうしていいかわからないでいる部下に対し、「自分で考えろ」とか「いちいち聞くな」などと言う上司は、仲間として不適格だと彼らは判断します。トップの号令でがむしゃらに働いた昭和が『巨人の星』型なら、平成は修行で強敵を打ち倒す『ドラゴンボール』型、そして令和は仲間と助け合う『ONEPIECE』型とでも言えるでしょうか。
そんな彼らに、組織への帰属意識を強く持ってもらうのは、簡単ではありません。それこそ『ONEPIECE』の主人公、ルフィのように、明確なビジョンを掲げて、強烈な仲間意識を共有できるリーダーが必要なのかもしれません。
[記事提供:ツナグ働き方研究所(https://tsuna-ken.com/)]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
平賀充記(ひらが・あつのり)
ツナグ働き方研究所 所長
1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を歴任。 2014年株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。2019年よりツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー就任。著書に『非正規って言うな!』『サービス業の正しい働き方改革・アルバイトが辞めない職場の作り方』(クロスメディアマーケティング)、『パート・アルバイトの応募が殺到!神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)。