スポーツにおけるスランプとメンタルの強さの関係
スランプからの脱出法は良質な睡眠?
スランプから脱出する、もしくはなりにくくするには、正常な身体生理とエネルギーバランスを回復するためには十分な睡眠が必要であると明言しています。1日の睡眠時間を約7~9時間以上にすることです。人間の睡眠の制御には自律神経系が大きな作用を持っており、脳内物質において、ドーパミン、エピネフリン、ヒスタミン、セロトニンなど、特定の神経伝達物質が睡眠覚醒サイクルを調節・維持しています。これらは中枢神経系で覚醒を維持する役割を担っています。
これらの脳内物質の働きで、人間は2種類の睡眠のレム睡眠、ノンレム睡眠という二種類の睡眠を繰り返しています。体の機能や筋肉を休めるレム睡眠、脳も休ませるノンレム睡眠を1サイクル通常70~120分の周期で制御しているのです。ここで重要なのは、レム睡眠とノンレム睡眠の周期がアスリートは約4サイクル必要という結果です。これが乱れると、精神疾患やパフォーマンスのスランプに陥りやすくなることがわかっています。
さらに、スポーツにおける特定の要因が、概日リズムと睡眠スイッチのメカニズムを混乱させる可能性があることもわかっています。例えば、海外での試合への移動における時差ボケ、元々選手が持っているメンタル面での不調、競技前の不安、ブルーライト付き機器の使用、病気の治療で服用している薬物、怪我、練習スケジュールなどです。心身のスランプはこの睡眠の質も大きな関係性があり、スランプがあっても十分な睡眠をとることでストレス因子を減らし改善することができ、加えてメンタル面で大きなタフさを維持することが出来るのです。
まとめ
スランプから脱出するために焦る気持ちがよく理解できます。さまざまなアスリートのスランプに立ち会ってきたからこそ感じますが、スランプとは自分自身が大きく成長する前段階なのだと思います。そして、経験を積んでいくことでなりにくくなります。さらに、試合などの強いプレッシャーは睡眠の質を低下させて、スランプになりやすくなる要素になるので、意識して7時間以上の睡眠をとることをおすすめします。
参考文献
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0191886909000750
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9904424/
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人
1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。