体操ニッポンに激辛採点…世界選手権11年ぶり「金メダル0」東京五輪は大丈夫?
内村にも身に覚えがある。個人総合で連覇を達成した2年前のリオ五輪。最終演技の鉄棒で、それまで首位を走っていたベルニャエフ(ウクライナ)の着地がわずかに乱れ、完璧な演技を見せた内村の点数に僅差で届かなかった。場内からは採点に不満を示すブーイングが起き、会見では内村へ「審判からかなり好意的に見られているのでは」という質問も飛んだ。銀メダルのベルニャエフが「審判はフェア。無駄な質問だ」と一蹴して、その場は収まったが…。
アテネ五輪団体金メダリストの冨田洋之は、こう話している。「時代によって美しさの評価が高くなるときもあれば、難しさが評価されるときもある。選手も採点傾向に寄せていき、みんな同じような演技構成になる。それだと採点する方も観客も飽きてしまう。その中で、美しさでは勝負しないという選手がたまに出てきて難しい技をどんどん披露する。今度はそっちに注目がいって評価されるようになる。そうやって時代の流れができていくものなんです」
採点方式や傾向は時代とともに変化する。潮目を何度も経験してきたはずの内村でも、危機感を隠さない。「長年やってきて、ごまかしがきかない採点になっている。来年以降どういう演技構成にするか考えないといけない。技術的向上というより、技の選択だと思う。点数が出るような構成を組むしかない。ロシアとか中国にちょっと寄せたような構成をしていくこと。加えて日本の良さを出せる技の選択をすれば、対等に戦える。質では負けてないので、勝てると思う。東京五輪を見据えると、体操で金メダルがないのは他の競技にも影響が出る」。
日本のお家芸であるという自覚は誰よりも強い。31歳で迎える東京五輪へ、体操ニッポンの復権へ、課題ははっきりと見えた。
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[文/構成:ココカラネクスト編集部]