【メンタルヘルス】自分だけが治せるという傲慢さは・・・
ただし、判断に迷う場合もあります。
アメリカでインターンをしているころ、ある東南アジア系のクライアントさん(仮にAさんとします)を担当したとき、そうした判断に迷ったことがありました。
Aさんは、うつの症状と幻聴と妄想があったクライアントでしたが、3ヶ月、週1回のセッションを行い、うつの症状もかなり回復し、幻聴はほとんどなくなり、妄想的なコメントがなくなってきたとき、Aさんは、「祈祷師による除霊のセッションを受けたい」と言ってきました。
大きな懸念は、精神病的な症状のあるAさんのようなクライアントさんが、ほとんど精神病的な傾向が収まったとはいえ、心理の深層にアプローチをするような過激な宗教的儀式をされてしまったら、バランスを崩してしまうのではないかということです。
僕は、こうした懸念をAさんに伝えました。しかし、Aさんは、どうしても受けたいらしく、最終的に彼女は、除霊を受けることを決断し、僕も了承しました。
Aさんの国の文化では、そうした祈祷師は、沖縄のユタさんたちに似た存在のようなもので、コミュニティの中で尊敬を集めている存在であるということ、Aさんの国では、文化的にそうした祈祷を受けることが、ごく自然なことであるということなどが、僕が了承した根拠になります。
その結果は、1週間後に明らかになりました。祈祷により、彼女の中に巣くっていた悪霊は追い払われたとのことで、彼女は、まったく元気になりました。もう幻聴も妄想もなくなり、うつの症状もなくなりました。そうした状態は、その後も続き、祈祷を受けた1ヶ月ちょっとしたころ、彼女とのセッションは終結を迎えました。
そのころのスーパーバイザーだった、マリーン・リッチーは、いつものようにポテトチップスを食べながら、「ヨシ(←僕のことです)、クライアントさんのためになるんだったら、(祈祷だろうがなんだろうが)OKなのよ」と豪快に笑っておりました。マリーンは、いつでも明解でした。
向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)
[記事提供:カウンセリングのハートコンシェルジュ(株)(https://www.heartc.com/)]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。