F1史上初「タイ人ドライバー」として表彰台に立ったアレクサンダー・アルボンとは
3位でチェッカーフラッグをくぐるアレクサンダー・アルボン(ホンダ提供)
2019年にトロロッソ(現アルファタウリ)でF1デビューを飾った際にも「タイ人ドライバーになることは僕にとっては大事なことだった。タイ人が最後にF1に出場してから長い時間が過ぎたけど、皆が誇りに思ってくれるような選手になりたい」と語っていた。
アジア人最初のF1ドライバーは日本人ではない。F1草創期の1950~54年にタイ王室の血を引くピーラポンパーヌデート親王(通称プリンス・ビラ)がマセラティのワークスチームなどで参戦。決勝最高位は50年のスイスGP、54年のフランスGPにマークした4位だった。つまり、アルボンが66年ぶりにタイ人のF1最高位を塗り替えたことになる。
自身のルーツでもあるタイには敬意を表しており、ヘルメットにはタイの国旗があしらわれているほか、後頭部にはタイ語で「9」と描かれている。これは2016年に死去した国王のラーマ9世を追善する意味が込められている。
F1にデビューする前のF2時代から彼のレースを見てきたが、人懐っこくて、どんなに忙しくても取材に真摯(しんし)に応じてくれた。F3で海外武者修行をしていた福住仁嶺(現スーパーフォーミュラ)とも大の仲良し。性格の良いドライバーは大成しないというジンクスはあるが、敵をつくらない紳士的な姿勢は逆に武器。メルセデスの王者ルイス・ハミルトン(英国)も一目置いているという。
これでホンダのパワーユニットを積むマシンの表彰台獲得は第2戦シュタイアーマルクGP(オーストリア)から8戦連続となった。「微笑みの国」タイを背負って立つアルボンには、ぜひとも表彰台のてっぺんで微笑んでもらいたい。
[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]
トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)
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