日本球界に及ぼす影響は大 歴史が予感させるセ・リーグへのDH制導入の陰
巨人は2020年の日本シリーズにおいて、対戦相手のソフトバンクの要求を受ける形で、全戦DH制採用という異例のシリーズに臨んだ。導入理由はやはり、コロナ禍における選手の負担軽減だった。結果は4戦全敗で、セ・リーグとしては不利なルール変更を受け入れた上での惨敗だった。
また、実力においてパ>セという構図が色濃く出ていた時代でもあった。セのチームが日本シリーズを制したのは2012年の巨人が最後で、これで8連敗。交流戦においてもパに対して負け越しを続けていた。こうした戦力格差の一因がDH制にあるのでは?という声は一部から出ていた。
ご意見番の原監督がDH制推進論者でもあり、巨人は昨オフの理事会で、何度もセへのDH制導入を訴えていた。しかし、投手が打席に立つのが野球本来の姿、という古典的な価値観が強く刷り込まれていたセ他球団のアレルギー反応は強かった。巨人サイドは交流戦での期間限定や、コロナ禍が収束するまでの時限措置などを織り交ぜ、選手の負担軽減を訴えていたが、他球団の賛同は得られなかった。次第にDH制導入の話題は、表舞台からは消えていった。
そこを再燃させかねないメジャーリーグでのユニバーサルDH合意である。12球団が集まる理事会や実行委員会では、何らかの意見交換が行われるのが当然の流れであろう。
もっとも、NPBは全てのルール変更を輸入してきたわけではない。メジャーリーグにおいて2020年から導入されたワンポイント継投を禁止するルールは、日本の野球にはそぐわないとして採用を見送っている。果たしてDH制に対してはどうか。
ファンの間でも賛否両論が渦巻くデリケートな話題でもある。少なくとも日本での今季中の導入は有り得ないため、議論を重ねる時間は十分にある。拙速ではない、健全な議論が求められる。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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