コロナ禍の影響でF1元王者が事実上のリストラに!若手に切り替えざるを得ない厳しい財政事情
ウインターテストで走行するフェラーリの今季型車(チーム提供)
ベッテルを切り捨てた理由としては「費用対効果」と言わざるを得ない。レッドブル時代に4連覇を果たしたが、フェラーリ入りした2015年以降は14勝を挙げながらチャンピオンを獲得できなかった。昨季に限っては移籍1年目のルクレールにシリーズポイントで下回り、勝ち星も1つ少ない1勝にとどまった。
今季の年俸も4000万ドル(約43億円)で、6000万ドル(約64億円)を誇るメルセデスの王者ルイス・ハミルトン(英国)に次ぐ高給取り。開幕が7月に遅れることで、全22戦で設定されたシーズンは15戦程度に短縮される見通しで、各チームとも減収は否めない。
特にフェラーリは1000人近くのF1専従スタッフを抱えており、財政的に逼迫(ひっぱく)する恐れがある。そこでベッテルには大幅減俸となる1300万ドル(約14億円)の単年契約を提示。事実上のリストラを言い渡したようなもので、交渉が決裂したという。
本人はチームを通じて「チームと僕は、今季終了以降に共に過ごしたいという共通の欲求がもはやないことに気づいた」とコメントした。ルクレールとサインツの来季年俸は合計でも2000万ドル(約21億円)程度とみられ、ベッテルが現状維持で残留した場合と比較すると32億円近くが浮く計算だ。
新型コロナウイルスによる経済への打撃は大きく、他チームも台所事情は火の車だ。ベッテルはメルセデス入りを狙っているとされるが、高額の年俸がネックとなって、来季のシートを失う事態にもなりかねない。
[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]
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