「箱根駅伝はナイキのためにあるのか」-厚底シューズ狂想曲を追う
あるメーカーの営業担当者はこうため息を漏らします。
「今年は夏に東京五輪が行われることもあり、各社、最高のビジネスチャンス到来と鼻息を荒くしています。そんな年の初めのビッグイベントで、ナイキさんに全部持っていかれてしまうとはね…。『箱根駅伝はナイキのためにあるのか!』と言いたくもなりますよ」
その厚底シューズとは「ズームXヴェイパーフライネクスト%」。価格は税込みで3万250円と決して安くはありません。しかし市民ランナーたるもの、1分でもタイムが縮まるなら、金に糸目はつけない人種。厚底にはカーボンプレートが入り、反発力がアップ。これが推進力につながっていると言われます。足への負担も少ないとされる「夢のシューズ」。昨年9月の東京五輪代表選考会では男子の上位10人中、8人がこれを履いたことから、一気に注目されました。
今年の箱根駅伝往路では5区間のうち、4区間で新記録が生まれる歴史的な高速レースとなりました。好天やトレーニング方法の進化、栄養学の発達なども当然ありますが、このシューズの「破壊力」がいかに凄まじいかも、実証されたと言っていいでしょう。
しかし…。
日本テレビの実況アナウンサーは不自然なまでにこの厚底シューズについて触れないことからも、運営サイドがこの「ナイキ1強」な状況を決して好ましく捉えていないようにもうかがえます。
そういえば、新記録で往路優勝を成し遂げた青山学院大の選手たちは、5人全員がナイキの厚底シューズで臨みながらも、優勝インタビューではしっかりと関係の深いアディダスのシューズに履き替えていました。
大人の対応、さすがです。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]