野村監督から教わった指導者論、人を育てると言う事
Windows95より前の時代からデータを重視
今は野球に関する細かいデータや戦法は出つくしたくらい出ていますけど、当時野村さんがヤクルトの監督に就任した頃はそんなものが出始める前でした。野村さんがやり始めたことで、データ野球の必要性を各球団が認識して、野球界全体がそういったものに対する見方が変わりましたね。一大改革というか、革命的なものだと思います。
今でこそパソコンでパパッと出てくるけど、あの頃は全部手作業。当時はWindows95とかより前の時代。その分、見て、いっぱい書き溜めていましたよ。僕らも必ずノートや手帳を持って、「何かあったら必ず書き留めなさい」と言われていました。「人間は忘れるから、思ったときに必ずメモしておきなさい」って。ミーティングはもちろん、練習中もノートを持って、終わった後に「これやらなきゃな」って確認ができる。今の僕も選手にメモする習慣をつけなさいと伝えています。
勝つことより、人を育てることが究極
野村さんの下で指導を受けた選手が、ユニフォームを脱いだ後に各チームにコーチとして招聘されました。新しいチームで、野村さんから教わったことをチームの中に植えていく。元々は野村さんの考えだけど、受け取り側が次に伝えていく時に自分なりの考え方を少し付け加えてチームに持ち込んでいく。そうやって野村さんの考えがプロ野球界に浸透していきました。
あの時代のヤクルトやライオンズの出身の指導者は多いですよね。それだけ野村さんや森(祇晶)さんは野球の本質を知っていると言う事。先見の明もあったんでしょうね。指導を受けた人が今は指導にあたっているというのは偉大ですよ。
野村さんがよく「監督としては人を育てるという事が一番大事」「もちろん、試合に勝つ事、優勝する事も大事だけど、人を育てることが究極なんだ」とおっしゃっていて。僕も野村さんのおかげで未だに野球界で仕事ができているということは、野村さんは人を残しているということですよね。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]