今季でF1活動を終了するホンダが、二輪活動を運営する「HRC」に四輪活動機能を追加する理由とは
モトGPのピットでは「HRC」のマークが目立つ(ホンダ提供)
ホンダの渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長はリモート会見で「HRCを統括するのは1人だが、二輪、四輪に責任者を置く」とした。HRCは埼玉県朝霞市にあるが、4輪の開発活動についてはそちらには移転せず、ひとまずHRD―Sakura内で続けられる。組織としてはHRCの傘の下に移るという。
これまで「HRC」というと二輪のモータースポーツのブランドイメージそのもので、四輪の場合はあえてデザインが異なる「HONDA RACING」のロゴを近年は使っていた。社内でも二輪、四輪のモータースポーツ活動の間には見えない垣根のようなものが存在し、独立独歩で歩んできた印象がある。体制強化のために一元化するのではあればいいが、モータースポーツ活動縮小の前触れであったとしたら残念だ。
HRCがホンダの子会社として設立されたのが1982年。その前身は1970年代初めにホンダのレースプログラムをサポートする目的でホンダとは別会社として発足した「RSC(レーシング・サービス・センター)」で、当時は二輪だけでなく四輪のレース活動も支援していたという。HRCへの集約が原点回帰の新たな動きと捉えたい。
渡辺本部長も「レースはホンダのDNAであることは変わらず、勝ちにこだわっていきたい」とリモート会見で語っていた。新生HRCが二輪、四輪の両モータースポーツ分野にどのようなケミストリー(化学変化)を起こすか注目したい。
[文/中日スポーツ・鶴田真也]
トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)
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