なぜ長友佑都はW杯メンバーに入ったのか 日本代表の歴史に学ぶ森保流“マネジメントの核心”

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塩貝ら初のW杯に挑む選手の突き上げも楽しみだ(C)Getty Images

 これらの外部要因を踏まえると、今大会は連続スタメンの選手が増え、前回よりも主力とサブの序列が明確になることが予想される。また、そうやって序列が明確になれば、出場機会が少ない選手は、徐々に疎外感を隠さなくなり、チームの一体感にヒビが入りがち。そうした事態を避けるべく、サブ組を引っ張って健康的なロッカールームを保ち、主力から100%の力を引き出すためには、ますます長友が外せないわけだ。

 そして、もう一つ言及したい。世間的には長友の選出に注目が集まっているが、キャップ数が少ない塩貝健人や後藤啓介が選ばれたことも、マネジメント上、興味深かった。

 2002年W杯では当時31歳の秋田豊と、34歳の中山雅史がサプライズ選出されたことが話題になり、2010年W杯では34歳の川口能活がサプライズ選出。いずれもチームの一体感醸成に大きな役割を果たした。
 
 この成功体験は、今回の長友選出の妥当性を裏付けるものだが、個人的には上だけでなく、下にも注目している。

 2002年W杯は、当時22歳の小野伸二、稲本潤一、中田浩二など若い選手が多かった。2010年も、当時22歳の内田篤人、森本貴幸がいた。逆に2006年のメンバーを見ると、大半の選手が24~30歳の同年代レンジに固まっており、2014年も似た傾向がある。つまり、年齢分布が大きい日本代表は結果を残した一方、分布が小さい日本代表はグループステージで敗退している。

 塩貝や後藤にとっては1周目、今回が初めてのW杯だ。W杯の魔物も、恐ろしさも、何も知らない。昨年ブラジル戦の鈴木淳之介がそうだったが、経験のある主力たちが「ブラジルに対してはこのくらい」と線を引く一方で、鈴木淳は思い切って突っ込み、1対1でブラジルの選手たちを圧倒した。まさに怖いもの知らずの、知らない強み――。その鈴木淳の勇猛果敢なプレーぶりに、W杯が2周目となる主力選手たちは、大きな刺激を受けていた。塩貝と後藤にも、それは期待される。

 一方、逆方向を見ると、2周目どころか5周目。客観的に見た対戦相手の強さも、自分のチーム内の立ち位置も、W杯に潜む魔物の住処さえ、すべてを知る男が、その残酷さを知り尽くした上で、トレーニングの先頭を走っている。出場機会で言えば、おそらく25~26番目だろう。それを覚悟した上で、何かに突き動かされるように走っている。自分は2周目で、いったい何をわかった気になっていたのか――。

 1周目の選手と、5周目の選手が、チームの主力である2周目の選手たちに与える影響は決して小さくないはず。また、これまで年齢分布の大きい日本代表が結果を残してきた背景も、そこにあると見ている。

 今回の森保ジャパンも、下は20歳の後藤や21歳の塩貝、上は39歳の長友、34歳の谷口彰悟、33歳の遠藤航や伊東純也など、非常に幅広い。長友だけでなく、後藤や塩貝の選出を含め、この26名リストは日本代表の歴史に学ぶマネジメントが表れている。

[文:清水英斗]

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