OL生活を経て復帰の伊調馨「日々やってきたものをやらないと、こんな体に…」
前人未到の五輪5連覇へのチャレンジは、涙で終わった。
9月のレスリング世界選手権(カザフスタン)代表をかけたプレーオフが6日、埼玉県の和光市総合体育館で行われた。注目は世界王者が対決した女子57キロ級。五輪4連覇中の伊調馨(35)が16年リオ五輪63キロ級金メダルの川井梨紗子(24)に敗れ、代表入りを逃した。川井が世界選手権でメダル獲得なら東京五輪代表に内定するため、伊調の五輪出場は極めて厳しくなった。
「自分が弱かったと言いたくない。勝った梨紗子が強かった」
試合後、伊調はタオルで顔をおおい隠した。「本当に悔しい気持ちだが、ここまでやるべきことをやって準備してきたので後悔はない。
(五輪5連覇は)なかなか手の届かない、並大抵のものではない」。実力伯仲の戦いだった。残り3秒、伊調が場外に押し出して3-3の同点に追いついたが、内容差で敗れた。「自分が弱かったと言いたくない。勝った梨紗子が強かった」と潔く負けを受け入れた。
ソウル五輪のフリースタイル48キロ級金メダリストの小林孝至氏は「完全休養後に復帰して、ここまでの試合をする伊調選手はすごい。ひとつひとつの技術を見ると伊調選手が圧倒する場面が多かった。その防御をかいくぐって、川井選手が得意としている寝技を展開できる一度きりのチャンスをつかみ、2点を取れたことが勝因でした」と分析した。今回1点にとどまった伊調のカウンタータックルは、リオ五輪までのルールなら2点。返し技よりも攻撃を評価するルール変更も、伊調には逆風となった。