初開催で見えてきた「現役ドラフトの穴」 モデルのMLBルール5ドラフトとは構造的に大きな隔たりが
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出場機会に恵まれない選手たちの移籍を活性化するための「現役ドラフト」が12月9日、初めて開催された。2018年に選手会の要望を受けて、12球団との協議を重ね、ようやく実現した新制度。初年度は12球団12人の選手が移籍した。
巨人は楽天から、2016年ドラフト1位のオコエ瑠偉を獲得。中日はDeNAから「未完の大器」と名高い細川成也を、そのDeNAは中日から2019年開幕投手の笠原祥太郎を獲得した。
広島は巨人の救援左腕として1軍実績が豊富な戸根千明を指名した。西武は同じく代打中心に1軍でプレーした陽川尚将を獲得。1球団が必ず1人を放出し、1人を獲得するシステムで、全球団で選手が入れ替わった。
とはいえ、移籍した選手たちが新天地でどの程度活躍できるかは未知数なままだ。選手の実力は、所属していた当該球団が一番よく分かっている。その球団が、放出しても構わないとしてリストアップした選手たちが、指名される仕組み。掘り出しものの発掘は容易ではない。
現役ドラフトにはモデルとしたシステムが存在する。メジャーリーグの「ルール5ドラフト」がそれだ。今年も12月、ウインターミーティングの最終日に実施された。こちらは30球団の戦力均衡化を目的に、選手の飼い殺しを防ぐ趣旨で実施される。
ルール5ドラフトでは18歳以下で入団して在籍5シーズン、19歳以上で入団した選手では在籍4シーズン以上となった選手が獲得指名対象。その条件を満たし、メジャー40人枠外の選手は全員が指名対象となる。
最低2人以上をリストアップというNPBの現役ドラフトとでは、指名候補選手の分母が全く異なる。