【現地発】挑戦者カルデナスに“チャンス”はあるのか? 元世界王者が説いた井上尚弥戦で“世紀の大番狂わせ”が起きるシナリオ「井上は時々隙ができる」

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圧倒的なパワーとテクニックを誇る井上。現階級で異彩を放つ天才の牙城が崩れる可能性はあるのだろうか。(C)Lemino/SECOND CAREER

「井上は井上だ。彼が“モンスター”と呼ばれるのには理由がある」

 もっとも、引退後は非常に聡明かつ公平な解説者として好評を博しているアルジェリは、井上戦でカルデナスが優位だと考えているわけではない。試合予想を問うと、やはり“モンスター”のKO勝ちを推した。

「カルデナスは大舞台に立つのに相応しいだけの実力を持っているとは思う。しかし、井上は井上だ。彼が“モンスター”と呼ばれるのには理由があり、ワールドクラスで、あまりにも多くの経験を積んでいる。結局は井上が井上らしさを見せるのだろう。おそらくはKO決着。特にカルデナスがアコスタにダウンを奪われシーンを思い返せば、そう感じずにはいられない」

 アルジェリの言葉にもある通り、カルデナスは派手さこそなくとも安定感を備えたオールラウンダーだ。ジャブ、右ストレートはシャープであり、中でも得意パンチの左フックは綺麗な軌道で飛翔する。正当な実力派であり、いずれ世界王座に辿り着いても不思議はないボクサーのように思える。しかし―――今回は相手が悪すぎる。

 確かにカルデナスはよくまとまっている。だが、いまや世界最高級のボクサーとして認められるようになった井上を脅かすほどのスケール感があるようには見えない。特にこれまで述べてきた通り、アコスタ戦でのカルデナスは強烈な左フックを浴びてダウンを喫した。前哨戦で脆さを曝け出しているようでは、モンスター撃破は難しいと大方の関係者に考えられても仕方ないのだろう。

 それでは“世紀の大番狂わせ”を起こすために、カルデナスは何をすべきなのか。「モンスターの攻略」は難しいが、アルジェリは可能性がゼロではないと考えているようだった。そのためのシナリオとは、以下の通りである。

「カルデナスは時に考えすぎて後手に回ってしまうことがあるが、井上戦では積極的に攻めなければいけない。 それを賢明な形でやる必要がある。井上は素晴らしい技術を持っているが、時々攻撃的になりすぎて、隙ができる。カルデナスはその瞬間を見つけ、適切なタイミングでパンチを打たねばならないだろう。難しいが、チャンスがまったくないわけではないとは思う。井上もルイス・ネリの左パンチでダウンを喫したことがあるし、カルデナスにはパンチ力はあるのだから」

 井上の爆発的なパワーパンチで致命的なダメージを負わないように気を配りつつ、バランスよく攻め、一瞬の隙をついて強打をカウンターで打ち込む――。それは非常に困難な作業には違いない。その可能性が高いとはもちろん言えないが、少なくともカルデナスには技術の下地、十分なパワー、そして格上相手でも本気で勝ちにいくだけの気概はある。

 常に冷静なアルジェリが29歳の挑戦者を買っているのは、『ProBox TV』シリーズで育った選手だからというだけではあるまい。結局は井上の圧倒的なKO勝ちが濃厚だとしても、カルデナスにはいくつかの危険な武器があることは認識されてしかるべきである。

[取材・文:杉浦大介]

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