「私は君を救わないといけない」――闘志消えぬカルデナスを止めたレフェリーの“名判断” 井上尚弥の恐ろしさを示す「64」

カルデナスを冷静に止め、試合を捌き切ったテイラー氏。(C)Getty Images
現地時間5月4日、米ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われた世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチ12回戦で統一王者の井上尚弥(大橋)は、WBA同級1位のラモン・カルデナス(米国)に8回で完勝。2回にダウンを喫して先手を取られるも、冷静に試合を推し進めて7回と8回にそれぞれダウンを奪ってTKO勝ちを収めた。
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ドラマチックな展開が大きな反響を生んだラスベガス決戦。その中にあって、賛否両論を呼ぶ判断もあった。それは、まさに雌雄を決する場面で下されたジャッジだった。
4回以降、手数を増やして完全に主導権を握った井上は、7回に鋭い右のショートでダウンを奪うと、一気呵成に攻めた8回には猛ラッシュを展開。コーナーサイドに押し込められたカルデナスが防戦一方となったため、レフェリーを務めたトーマス・テイラー氏は両雄の間に入って試合を止めた。
この紙一重は判断に異論が飛んだ。その声の大半は、戦闘意志を見せていたカルデナスが「まだ戦えたのではないか」というものだった。元世界スーパーバンタム級2団体統一王者のスティーブン・フルトン(米国)も自身のXでテイラー氏に対して「批判する人がいるかもしれないけど、あの試合終了は少し早すぎたと思う」と指摘した。
ではなぜ、レフェリーは試合を止めたのか。その舞台裏を米メディア『Boxing News』のインタビューに応じたカルデナスが明かしている。