鍵になった髙橋藍の存在 明暗分かれたメンバー選考からブラン監督の思惑を読み解く【男子バレー】
守備力に長けた髙橋藍の存在が、今回のメンバー選考に与えた影響は大きそうだ(C)Getty Images
男子バレー日本代表が出場するネーションズリーグは、6月24日にレギュラーラウンドを終え、日本はファイナルラウンド進出を決めた。
レギュラーラウンド終了時の世界ランキングがパリ五輪の組み合わせにも反映される中、最終戦でアメリカに3対0で勝利した日本は2位まで浮上。大会前の目標とした「5位以内」を大きく上回る好成績で、パリ五輪の組み合わせは開催国のフランス、世界ランク1位のポーランドと同じポット1に属することが決まり、予選グループリーグで同2か国とは対戦しないことが確定した。
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すでにパリ五輪出場を決めた状況で臨んだネーションズリーグは、世界ランキングを維持するだけでなく、メンバー争いも兼ねた戦いでもあった。特にアウトサイドヒッター、リベロの争いが激化する中、誰が最終12名に選ばれるのか。最後まで注目を集めたメンバー選考が24日にフィリップ・ブラン監督のオンライン会見にて発表され、セッターは関田誠大、深津旭弘、ミドルブロッカーは山内晶大、小野寺太志、髙橋健太郎、アウトサイドヒッターは石川祐希、髙橋藍、大塚達宣、甲斐優斗、リベロは山本智大の12名が選出され、変更可能な13人目のリザーブメンバーとしてアウトサイドヒッターの富田将馬の名が上げられた。
特に注目を集めたのがリベロだ。昨秋の五輪予選でも主軸を担い、遡れば東京五輪から日本の正リベロ、守護神としてディフェンスを束ねてきたのは山本だ。その実績から見ても山本の選出は異論がないのだが、選考をかけたネーションズリーグではブラン監督が「オリンピックは12名。リベロは1名しか連れていけないので平等に機会を与えた」と話したように、ネーションズリーグではほぼ1試合おきに山本と、小川智大がそれぞれ出場した。国際経験は山本のほうが勝るが、国内ではレシーブ賞やベストリベロを連続して獲得してきた小川のスキルやコート内でのリーダーシップは抜群。チャンスがより多く与えられたことで、リベロは山本で決まりだろうという様相は一変し、「小川が選ばれるのではないか」という声も高まった。結果的に、これまでの経験やディグ力を評価された山本が選出されたのだが、ブラン監督も常々「日本には世界一のリベロが2人いる」と公言してきた通り、14名ならば当然選ばれるべき2人を1人に絞らなければならない。苦汁の決断とは理解していても、小川の落選を惜しむ声が多く寄せられた。