F1日本GPが中止決定した反面、F1側が中国GPを中止にできない理由とは
日本GPではグランドスタンド裏にも多くの観戦客が(モビリティランド提供)
前売り券の販売枚数を制限したとしても近隣住民も通勤、通学で利用するし、レース後は駅に観戦客が殺到するため、「密」は避けられない。
6月時点で渡航規制の解除の見通しが不透明であることも大きい。無観客で開催する選択肢もあるが、F1チーム、運営側、撮影クルーを含めると1000人近くが海外から遠征する。鈴鹿市やその周辺に関係者が集中すれば、感染リスクは高まる。
しかも渡航の制限が緩和されることが決まっているのはタイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国。F1の拠点がある欧州各国からの渡航が保証されていない現状では、見切り発車するわけにもいかない。
関係者の話によると、日本GPなどが中止となった反面、F1側は延期状態になっている中国GPを秋に開催したい意向という。詳しい理由は定かではないが、数多くの中国企業がF1チームのスポンサーをしており、「資金源」を切り捨てることができなかったのではないかとみる。
機材搬入などのロジスティックスを考慮すると、中国GPの前後に他のアジア開催のグランプリを実施する旅程を組むことになる。しかし、中国・武漢がコロナの発生源と指摘されている以上は、防疫上の観点から中国を軸とする連続開催は難しい。
感染リスクのある中国では開催しないと春先の早い段階で発表していれば、事態が変わっていた可能性はある。ひょっとしたら、ベトナム、シンガポールとつなぐ開催スケジュールを組むことはできたかもしれない。
中国GPを中止にできないF1側のあきらめの悪さに強い不満を覚える。
[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]
トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)
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