「諦めなければ立ち上がることができる」、グレイシー一族と死闘を繰り広げた元ファイターが堀口vs朝倉戦に感無量
2020年の締めくくりに行われた「RIZIN.26」で、堀口恭司が朝倉海に1ラウンドTKO勝ちし、RIZINバンタム級タイトルを奪還した。
やられたらやり返す—。当時売り出し中だった朝倉海にまさかの1ラウンドKO負けを喫し、辛酸をなめたあの日から約500日。右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷の大怪我を乗り越えて上がった復帰戦で、堀口恭司が勝利の雄叫びをあげた。
試合を見た元総合格闘家の大山峻護さんは、逆境から這い上がってきた堀口のメンタルに感服。このリベンジマッチを絶賛した。
「神がかったいい試合でしたね。ここまでのストーリーが、500日かけてでき上がった映画みたいでドラマチックな試合。コロナ禍でみんなが大変な思いをしてきたなか、最後に素晴らしい試合を見せてもらいました。世界のトップを走ってきて、日本のMMA(総合格闘技)史上最高傑作と言われた男(堀口)が、アウトサイダーから成り上がってきた男(朝倉)にすべてを持っていかれて、そしてアスリートとして致命的な前十字靭帯断裂。その上、世界的な新型コロナの蔓延で、気持ち的にも環境的にも、選手生命が終わってしまうような人もいると思います。でも堀口選手はそのネガティブな要素すらを力に変えてしまいました。本当に堀口選手のメンタリティは異次元です」
試合を決定付けたカーフキック(ふくらはぎへの蹴り)について、大山さんはこう語る。
「足を滑らせるように蹴るので、動作が小さくてそれだけ初動が速い。初動が速いから相手からすると反応しにくい。しかも、怪我をした方の足で蹴ってくるということがすごい。普通だったら無意識で守ってしまいます。怪我で壊れてしまった足で攻めて、それで勝負の流れを変えてしまった。本当に凄まじい選手です」