中日本拠地に「ホームランウイング」設置へ 2026年から何が変わる? 「3つの視点」で考察
■スカウティングにも変化?
2つ目はスカウティングの変化について。1997年のドーム開場以降、中日はいわゆる「俊足巧打」タイプの野手を積極的に集めていた。
開場初年度は強竜打線で恐れられていた打線が沈黙し、リーグ最下位。この屈辱から守備・走塁に長けた選手を補強し、チームを「ドーム型野球」に生まれ変わらせ、最下位からたった2年で優勝まで持ち込んだ。
それ以降も落合博満監督時代に投手を中心とした「守りの野球」で黄金期を築き、ピッチングスタッフの強さが中日のアイデンティティとなっていた。
ただ、時代と環境が変化し、バンテリンDは「極端なピッチャーズパーク」となっていた。本塁打性の打球が何度も高いフェンスに跳ね返され、投手が抑えても点が取れないで負ける試合が続いた。チームも低迷が続き、直近3シーズンは最下位に沈んでいる。
「ホームランウイング」の導入は一つ、チーム浮上のきっかけにできるかもしれない。球場が狭くなることで長距離砲の獲得、特にドラフトにおける同タイプの積極的な指名が展開されるだろう。投手はより支配的な投球が見込める者が重用されるのではないか。
今季のルーキー、黄金左腕・金丸夢斗や左の長距離砲・森駿太が「ホームランウイング時代の申し子」になることを期待したい。
■野球のエンタメ化が進行?
もう一点、「ホームランウイング」導入で野球のエンタメ化が進みそうだ。前述の通り、敵味方問わず本塁打が増えるのは間違いない。そうなると、観客が沸くシーンも増える。玄人好みの投手戦といえば聞こえは良いが、貧打戦になることもしばしばな現行のバンテリンDは、残念ながら盛り上がりに欠けていた。
テラス席という「仕掛け」を作って得点が入りやすい状況を創出すれば、盛り上がりはこれまで以上に生まれるはず。今や野球観戦は推し活や音楽ライブ参戦に近いものがあり、時代の流れにも則しているように感じる。
その上で中日が勝つ試合が増え、観客も増え、チーム補強やドームの設備投資に費やせる資金が増えることに繋がれば、言うことはない。まずは「ホームランウイング-1.0」となる今シーズンの動向に注目だ。
[文:尾張はじめ]
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