セブンズ代表候補・藤田慶和が抱く五輪への思い「セブンズを文化として根付かせたい」
7人制・15人制どちらもやっているからこそ感じること
東京オリンピックでは7人制ラグビーの代表候補となっている藤田選手。一方で、ラグビートップリーグでは、パナソニック ワイルドナイツに所属し15人制でも出場を重ねている。(オリンピック挑戦のため現在は7人制に専念)
双方を経験している藤田選手だからこそ感じる様々な面を明かしてくれた。
ー7人制・15人制双方をやっているからこそのメリットや、やっているからこそ得られていると感じるのはどのような部分ですか?
「7人制に関してはスピードやランニングという部分で磨きがかかると思うので、そこで得た成長や世界と当たりあえるということは自信を持って15人制に持っていけると思います。今回の東京五輪でもしっかり結果を残して自信をつけ、2023年のW杯に弾みをつけたいなという思いはありますね。
逆に15人制では、コンタクトが凄く強いので、ここでのコンタクトレベルが備わっていれば、7人制でそんなに苦労しないと感じます。スポーツ自体は同じラグビーなので、双方で特化した部分を身につければ、より成長出来るのではないかと思いますね。」
ートレーニング内容は双方で違うのでしょうか?
「全然違いますね。7人制は15人制に比べて走る競技なので、走り込みを1日に何回も行っています。走る距離や強度に関して、凄く高いレベルで練習をしていますね。
15人制は、7人制に比べて組織力が高いので、声の掛け合いや戦術といった部分を高める練習が多くなってくるのかなと思います。特に戦術に関しては、15人制だと型がありますが、7人制は型はありながら状況判断が重視されるものなので、そこも違ってくるのかなと思います。」
ー逆に、双方を並行していく中で、大変なことはありますか?
「体重の管理ですね。7人制で適切な体重でも15人制だと少し軽いですし、その逆だと重くて走れない。人数が違くてもコートの広さは同じなので、7人制だと単純に倍の距離を走らないといけないじゃないですか。そうなると、思っているよりも脚に疲労がくるんですよね。そこの慣れが凄く大変ですね。僕の場合、双方だと体重は4キロくらい、体脂肪率も3%くらい違います。」
ー7人制ではキッカーとしてゴールキックを任されている
「そうですね。2019年に行われた『オセアニアラグビーセブンズチャンピオンシップ2019』でオールブラックスと対戦した時、ラストワンプレーで僕がゴールキックを成功させたら勝ちだったんです。しかもただの勝ちではなく、対オールブラックス2勝目がかかった試合。14分間、皆が戦って頑張ってきたものが、僕のキックにかかっていると思うと緊張がヤバかったですね。」
ー大変なことも多いなか、15人制と7人制両方を続けている。ズバリその理由はなんでしょうか?
「7人制が好きというのもありますし、両方やることで成長出来ると思っています。なので、出来る限り両方チャレンジしたいという思いはありますね。」
『セブンズ』という凄く面白い競技を日本に広げたい
現在は過酷なトレーニングを積みながら、東京オリンピック代表入りを目指している藤田選手。
オリンピックに抱く自身の想いについて話してくれた。
ー現在練習に取り組む中で、オリンピックに向けて特に自分の中で磨き上げている部分・強化している部分はありますか?
「自分の強みはランニングであったり、チームを司令塔として引っ張っていくところ。そこはもっともっと磨いていかないといけないと思います。あとは今、タックルを強化していますが、一つ一つの動作確認の中で、毎回の練習で平均点を良くしていき、それを試合の時にいい点数として発揮できるような準備をしています。
今は世界と試合が出来る場がないので、自分がどこまで出来ているかは分かりませんが、一つ一つの練習で平均点を上げていくということは、僕の中でひとつ大切なことだなと思います。」
ーオリンピック挑戦へ向けての意気込み、そして成し遂げたいことはありますか?
「リオ五輪の時に代表落選をして凄く悔しい思いをしているので、まずその借りを返したいという思いは自分の中であります。オリンピックの舞台でプレーしたいですね。
あとは、チームとしても個人としても目標はメダルを獲ること。そこへ向けた準備をして、成し遂げたいなと思います。」
ーオリンピックに向け、見ている人(ファン)に伝えたいこと、見て欲しいところを教えてください
「今ラグビー界が盛り上がっている中で、ここで僕たちがもう一度ラグビー熱を加速させるのか、あるいは失速させるのかが結構懸かっていると思います。
もう一度加速させて、今は認知度の低い『セブンズ』という凄く面白い競技を日本に広げ、文化として根づかせたいなと思いはありますね」
選手としてフィールド内だけでなくフィールド外でも夢を与えたい
悲願のオリンピック出場へ向け、自らの思いを語ってくれた藤田選手。
最後に、いちラガーマンとしての今後の展望について聞いた。
ー2019年のW杯で一気に人気が高まったと思われるラグビー界ですが、この先もっとメジャーなスポーツにしていくために必要なこと、足りないことはありますか?
「まずは、ラグビーを身近なものにしないといけないな、というのはあります。スポーツの特性上、(ラグビー は)野球みたいに毎日試合が出来ないですし、触れる機会がないという現状があります。その中で、テレビなどで沢山放送して頂けるような活躍を、15人制でも7人制でもしていかなければという思いはありますし、地道な努力や活躍が、おそらく色んな方の身近に繋がって日本のスポーツ文化になっていくのかなと思います。
まずは人気を定着させることが大切なのかなと思いますね。」
ー今後ご自身としては、ラグビー界をどのように盛り上げていきたいですか?
「藤田がいないとダメだと言われるような選手になって、日本を引っ張れるような選手になりたいです。
あとは、今自分はラグビー界で1,2を争うくらいの『発信』をしているので、そういったことをラグビーファン以外のところへ、ラグビーの魅力や価値を日本全体で上げていけるような役割を果たせたらいいかなと思います。
子供たちに夢を与える選手になりたいというのが、プロ選手としてある。現役中にどれだけ社会貢献であったり、子供たちに夢を与える活動が出来るかは僕のチャレンジだと思っています。
選手としてフィールド内だけでなくフィールド外でも夢を与えたいなと思いますね。」
ー「発信」という点では、現在ご自身のYouTubeチャンネルを設立していると思いますが、YouTubeで今後やってみたいことはありますか?
「他競技の選手とコラボしてみたいですね。最近だと、総合格闘家の堀口選手とコラボしたいです。
先日、浅倉カンナ選手(総合格闘家)とコラボしたんですが、すごく面白かったです。
あとは、新庄剛志さんともいつかやってみたいですね!」
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
・今すぐ読みたい→
「いける、という確信を持っていた」ラグビー・畠山が語る、南アフリカ戦の舞台裏
ラグビー・中島イシレリがブレイクした理由はハンバーガーの数?伝説のエピソードの数々
巨人退団後に大化けした選手たち