「数年直視できない現実だった」五輪代表を逃した中野友加里が悔やむ「2つのミス」とは
いよいよ約1ヶ月後に迫ったフィギュアスケートシーズン開幕。今季は来年2月に予定されている北京五輪に向け各選手がどのようなプログラムや演技構成で勝負してくるのかに注目が集まる。
一方で国内では、男女それぞれ「3枠」の五輪代表の座をかけて、激しい戦いが繰り広げられることが予想される。
代表争いに向けては、10月よりスタートするグランプリシリーズでの成績も加味されるが、優勝者がそのまま代表内定となる全日本選手権での成績が大きなカギとなるだろう。
そんな五輪シーズンスタートを前に、女子シングル元日本代表の中野友加里さんは、自身のYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」で、ある動画を公開した。
明暗を分けた二つのミス
「【告白】直視できなかった現実・・・『0.17点差の悔し涙』2009年全日本選手権を解説します」とのタイトルで公開された動画。
この2009年の全日本選手権は、中野さんがバンクーバー五輪代表の座をかけて挑んだ勝負の大会であり、自身現役最後となった大会だ。
この大会で、中野さんは2位とわずか「0.17」差の3位となり、結果として五輪代表の座を逃す形となった。
今回中野さんは、当時のフリーの演技を振り返り、どこでどのように点数を取りこぼし、「0.17」の差を埋められなかったのかを語った。
ジャンプが7つ、スピンが3つ、そしてスパイラルシークエンス、ステップシークエンスがそれぞれ1つずつの計12セクションで構成された演技の中で、中野さんが「ここさえあれば」と振り返ったポイントは2つ。
一つ目が、冒頭のコンビネーションジャンプだ。
演技前の予定構成では3ルッツ+2トゥループ+2ループを予定。ところが最初の3ルッツでミスをしてしまい、コンビネーションが出来なくなってしまった。どこかでコンビネーションを付けリカバリーしなければいけないと判断した中野さんは、当初は単独ジャンプとして予定されていた3つ目の3ルッツに付けることを決意。
ところが、3ルッツは成功したものの、スピードがいつもより落ちていたことから、「失敗してしまうかもと、自分の中で弱気になってしまった」と、2つ目の2トゥループのあと、3つ目のジャンプを2ループではなく、それよりも難易度の低い2トゥループにしてしまったという。
この結果、本来の3つのジャンプで8.8点を獲得出来たところ、8.6点に。ここで既に0.2点を失ってしまった。
そしてもう一つ、中野さんがジャンプ以上に悔やんだのが、最後に行ったチェンジコンビネーションスピンだ。いつもであればレベル4を獲得出来ていたはずのスピンでレベル3のジャッジとなり、結果としてここだけでも0.5点を失ってしまったのだ。スピンを得意とする中野さんが犯した痛恨のミスだった。
「おそらく私のシット姿勢(しゃがんだ状態でスケーティングレッグの大腿部が少なくとも氷面に並行な姿勢)が浅かったか、回転が少し足りなかったと思います。私の中で、ジャンプはその時の調子によって変わるものなので仕方がない。この時も頑張ってリカバリーし、最大限頑張ったつもりでした。ただ、スピンというのは裏切らないもの。ここは落としてはいけなかった部分でしたね」