ストレッチでは不十分!?パフォーマンスアップ・怪我予防に必要な能力とは
「モビリティって何?」
「モビリティの良し悪しは、からだにどういった影響を与えるの?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。トレーニング界隈でいま注目を集めているモビリティ。
モビリティ(可動性)とは、簡単に言うと思い通りにからだを動かす能力のこととされています。モビリティを高めると、ケガの防止やスポーツのパフォーマンス向上につながるといわれています。
逆に言うと、モビリティを意識せずにトレーニングしていると、理想のパフォーマンスが発揮できなかったり、ケガにつながる可能性もあります。
そこで今回は、モビリティについて詳しく解説すると同時に、モビリティを高めるトレーニングをご紹介していきます。日頃からトレーニングに励まれている方にとっては、必見の内容ですよ。
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1.トレーニングにおける「モビリティ」とは?
トレーニングにおけるモビリティとは、三次元の空間でからだを動かす際に、思い通りにコントロールできる能力のことで、主に筋肉の柔軟性や関節の可動域の広さなどを指すとされています。モビリティがなければ、私たちは寝返りや立ち座りもできず、歩くことさえもできないといわれています。
モビリティ=自分が意識した運動を思いのままにできるかどうか
モビリティは筋肉の柔軟性や関節の可動域だけでなく、平衡感覚をつかさどる三半規管、筋肉や腱などから関節の角度や全体的な姿勢を伝えてくれている深部感覚など複数の要素から構成されているといわれています。
<モビリティに関わる要素>
・筋肉の柔軟性
・関節の可動性
・三半規管
・深部感覚 など……
モビリティを日本語に訳すと「可動性」といい、「柔軟性」とは異なるといわれます。からだが柔らかい人を「モビリティが高い」と表現することが多いですが、これは間違い。柔軟性はモビリティの一要素でしかないとされているので、柔軟性が高ければモビリティが高いとは一概には言えません。
これまでは、筋肉の柔軟性を高める「ストレッチ」が脚光を浴びてきましたが、トレーニングにおいてはストレッチだけでは不十分だということが徐々にわかってきたのです。
筋肉の柔軟性だけでなく、平衡感覚や深部感覚、関節の可動性などさまざまな要素を高め、モビリティを向上させていくことが、スポーツなどのパフォーマンスアップにつながっていくといわれています。
<モビリティを高めるメリット>
・スポーツのパフォーマンス向上
・ケガの予防
・肩こりや腰痛の軽減
モビリティを高めるメリットには、ケガの予防・肩こりや腰痛の軽減などもあります。
ケガや肩こり、腰痛は、関節の可動域の狭さや筋肉の硬さによって生じますが、モビリティを高めると関節が柔らかくなることに加えて、筋肉が発達して運動を自由自在にコントロールできるため、痛みやケガの予防にもつながと考えられています。
2.モビリティを高める3つのトレーニングメニュー
ここでは、モビリティを高めるとされているトレーニングメニューをご紹介します。
2-1.上半身には「キャット&カール」
上半身のモビリティ向上には「キャット&カール」がおすすめです。キャット&カールは、四つ這いになって猫のように背骨をくねらせるトレーニングになります。
キャット&カールを継続していくと背骨のモビリティが向上するため、体幹が強化されて姿勢が安定したり、肩こり解消が期待できます。
〈キャット&カールのやり方〉
1. 四つ這いになる。左右の肩の真下に手が、左右のお尻の真下にひざがくるようにする。このとき、つま先は立てておく。
2. 両手と両脚は固定したまま、息を吐きながら、おへそを見るように背骨を丸めていく。
3. 次に、息を吸いながらできるだけ背骨を反らしていく。このとき、頭は上げて視線を天井の方に向け、お尻は後方に突き出す。
4. 2~3を10セット繰り返す。
2-2.下半身には「ヒップサークル」
下半身のモビリティ向上には、股関節が重要です。「ヒップサークル」というトレーニングで股関節のモビリティを高めていきましょう。
ヒップサークルとは、片足立ちになり、浮かした方の脚の股関節をグルグル回していくものです。片足立ちになりながらトレーニングするので、平衡感覚も鍛えられますよ。
〈ヒップサークルのやり方〉
1. 片足立ちになる。
2. 浮かせた方の脚を、股関節を中心にグルグル回していく。このとき、できるだけ大きな円を描きながら回すようにする。
3. 右回りと左回りを10回ずつ行う。
4. 片方の脚が終わったら、左右の脚を入れ替えて同様に行う。
2-3.足首には「カーフレイズ」
最後に、足首のトレーニングです。「カーフレイズ」という、かかとを上げ下げするトレーニングで足首のモビリティを高めていきましょう。カーフレイズは、捻挫の予防にもなるといわれています。
〈カーフレイズのやり方〉
1. 壁などにつかまり、片足立ちになる。
2. 軸足のかかとを持ち上げてつま先立ちになる。
3. つま先立ちから、ゆっくりとかかとを床におろしていく。
これを10回3セット行います。