【医師に相談】群発頭痛という症状をご存知ですか?
Q:群発頭痛に効果的なツボはありますか?
群発頭痛の痛みを劇的に和らげる「特効ツボ」のようなものは残念ながらありません。しかし、ツボ押しによるリラクゼーション効果や血行改善によって、多少なりとも症状が緩和する可能性はあります。特に次のようなツボは頭痛全般に効果があるとされ、群発頭痛でも試してみる価値があります。
合谷(ごうこく)
手の甲にあるツボで、親指と人差し指の骨が交わるくぼみの部分です。頭痛や首・肩こりに効くとされています。反対側の親指で少し痛いくらいの強さで押し込み、10秒ほど押したら離す、を繰り返します。群発頭痛の激痛そのものを止めることは難しいですが、痛みで興奮した神経を落ち着ける作用が期待できます。
百会(ひゃくえ)
頭のてっぺん、両耳を結んだ線と鼻筋の延長線が交わるところにあるツボで、ストレス性の頭痛にも用いられます。両手の中指を重ねて当て、ゆっくり垂直に5~10秒押して離す、を繰り返します。強く押しすぎると逆に頭が重くなるので、「気持ちいい」と感じる程度の刺激で十分です。
風池(ふうち)・天柱(てんちゅう)
首の後ろ、後頭部の髪の生え際付近にあるツボです。風池は後頭部中央から指2本分ほど外側、天柱は太い筋肉(僧帽筋)の外側のくぼみあたりに位置します。親指で後頭部を支えるようにしながら、左右同時にゆっくり10秒程度押して離すのを繰り返します。緊張型頭痛などではよく使われるツボですが、群発頭痛でも発作の頻度を減らす助けになる可能性があります。
以上のようなツボ刺激は、あくまで補助的なセルフケアです。群発頭痛の発作そのものを止める力は期待できませんが、「何もしないよりは気が紛れる」「発作が軽く感じる」といった声もあります。
Q:群発頭痛に前兆はありますか?
片頭痛では発作前にキラキラした光が見えるなどの前兆(閃輝暗点など)が出ることがありますが、群発頭痛には典型的な前兆現象はありません。多くの場合、ある日突然なんの予兆もなく片目の奥が痛み出し、発作が始まります。ただし一部の患者さんでは、発作が起こる直前の数分間に「何となく目が霞む」「首筋が張る」といった軽い予兆が見られることがあります。
これらは片頭痛のようなはっきりした前兆とは異なり、発作直前のごく短時間に起こる「初期症状」のようなものです。毎回必ず感じられるわけではありませんが、もしご自身で「あ、来そうだ…」という感覚がわかる場合は、その段階で先手を打って酸素吸入を始めるなど対策を取ることができます。
いずれにせよ、群発頭痛は予期せぬタイミングで急に発症することが多いです。他の病気のように前触れが少ないため、「またいつ発作が来るか」という不安が患者さんを苦しめる面もあります。そのため、発作期には常に酸素ボンベを携行するなど万全の備えをしておくことが安心材料になるでしょう。なお、日中より夜間に起こりやすいので、睡眠前に予防薬をしっかり飲んでおくなど規則正しい生活リズムを保つことも発作予防に役立ちます。
Q:女性が群発頭痛になることはありますか?
はい、女性でも群発頭痛になることがあります。 群発頭痛は男性に多い病気ですが、決して男性だけの病気ではありません。かつては「男性:女性=6~7:1」と言われたこともありますが、近年の調査では女性の群発頭痛患者も増えており、男女差はやや縮まってきています。実際、国内外で女性の群発頭痛の症例報告も数多くあり、特に30~40代の働き盛り世代で発症する女性も珍しくありません。
女性の場合、「片頭痛もちだと思っていたら実は群発頭痛だった」というケースもあります。群発頭痛は男性に多いという先入観から診断が見逃されることもあるため、女性であっても先に述べた典型症状(片側の目の奥が激痛、涙や鼻水が出る、毎日決まった時間に痛む等)に合致する場合は群発頭痛を疑って適切な診断・治療を受けることが大切です。
ちなみに、女性の群発頭痛にはいくつか興味深い点も指摘されています。例えば女性ホルモンとの関係ですが、明確な因果関係は不明ながら「女性ホルモンが発作頻度に影響する可能性」も議論されています。ある研究では、閉経後の女性に慢性群発頭痛が多かったことから、女性ホルモンは群発頭痛に対して保護的に働いているのではないかという示唆もあります。ただし個人差が大きく、一概には言えません。
まとめると、群発頭痛は男性に多いものの女性も発症し得る頭痛です。女性で「自分は片頭痛だろう」と思い込んでいる方も、症状が当てはまるようであれば群発頭痛の可能性を考慮してください。男女にかかわらず、辛い頭痛が続くときは専門医に相談するのが一番です。
Q:群発頭痛を予防するために食べてはいけないものなど、日常生活で気を付けることはありますか?
群発頭痛の予防においては、発作が頻発する群発期と症状が出ていない寛解期で対策が異なります。それぞれの時期に応じた生活上の注意点を挙げます。
群発期の生活管理
群発期には発作を誘発する要因を可能な限り排除し、発作の頻度・強度を抑えることが目標です。
・群発期のアルコール摂取はごく少量でも確実に発作を誘発します。発作期には断酒が必須です。ノンアルコールビールであっても微量のアルコールが含まれるため避けた方が安全でしょう。
・加工食品・熟成チーズ・チョコレートなど添加物やチラミンといった成分が血管を拡張させ、発作を引き起こす可能性があります。
・旨味調味料(MSG)を多く含む食品 中華料理やインスタント食品などは要注意です。
・刺激物(辛すぎる食べ物・強い香辛料)血流が急に変化することで発作につながる場合があります。
・毎日同じ時間に就寝・起床し、昼寝は避けます。睡眠パターンの乱れは発作を誘発しやすくなります。特に夜更かしや寝不足は厳禁です。
・強い匂い(香水、タバコの煙、ペンキ、ガソリンなど)を嗅ぐと発作の引き金になることがあります。群発期にはこうした刺激臭はできるだけ避けましょう。また喫煙者の方はこの機会に禁煙を検討してください(喫煙も発作誘因となることがあります)。
・気圧の急激な変化も群発頭痛発作を誘発することで知られています。そのため群発期には登山や飛行機での移動は可能な限り控えましょう。どうしても出張や旅行で飛行機に乗る必要がある場合は、主治医に相談の上で予防的な対策を取ることをお勧めします。
・お風呂に入ると体が温まり血管が拡張するため、群発頭痛の発作が起こったり痛みが強くなることがあります。群発期はできればぬるめのシャワーで済ませ、熱い湯船に長時間浸かるのは避けた方が無難です。
寛解期の生活管理
寛解期には一見症状がなく普段通り生活できますが、次の群発期に備えての工夫ができます。
・群発頭痛は毎年ほぼ同じ時期に発症することが多いため、自分の群発期パターンを記録しておくと役立ちます。例えば日記やカレンダーに発作が起きた期間をメモしておき、「そろそろ来る頃だ」と予測できれば事前に治療薬を確保したり、仕事のスケジュールを調整するなど準備が可能です。
・過度なストレスは片頭痛だけでなく群発頭痛においても発作の引き金になり得ます。寛解期のうちに適度な運動や趣味の時間を取り入れるなど、ストレスをため込まない生活を心がけましょう。自律神経のバランスを整える意味でも、規則正しい生活リズムと十分な睡眠・休養が大切です。
・日頃から健康維持に努め、風邪や疲労の蓄積を防ぐことも大事です。特に生活リズムを整えることは視床下部の安定化につながり、結果的に次の群発期の発症を遅らせたり軽減できる可能性があります。暴飲暴食を避け、栄養バランスの良い食事・適度な運動など基本的な健康管理に留意しましょう。
・次の群発期に向け、必要な治療の準備を整えておきます。例えば酸素ボンベの手配を事前に確認しておく、予防薬(ベラパミルなど)が切れていないかチェックする、職場の上司や家族に「また発作が来る可能性がある」ことを伝えて協力を仰いでおく、などです。備えあれば憂いなしです。
・群発期・寛解期に関わらず、頭痛が起きた日時・持続時間・誘因と思われる要因・使用した薬とその効果等を頭痛日記に記録しておきましょう。これらのデータは次の受診時に医師と治療方針を相談する材料になりますし、ご自身で「こうすれば痛みが軽減した」という対処法を見つけるヒントにもなります。
Q:どんなときに病院を受診すべきですか?
群発頭痛は激烈な痛みを伴うため、基本的には痛みが強い発作が繰り返す時点で早めに専門医を受診すべきです。特に次のような場合は放置せず、速やかに医療機関を受診してください。
初めて群発頭痛様の症状が出たとき
今まで経験したことのない激しい片側の頭痛が突然起こり、さらに目の充血や鼻水など群発頭痛に特徴的な症状が初めて出現した場合は、必ず脳神経外科や神経内科を受診しましょう。先述のように他の疾患(脳腫瘍、脳動脈瘤、海綿静脈洞症候群など)が隠れている可能性もあるため、MRIやCT検査で異常がないか確認する必要があります。「激しい頭痛=群発頭痛」と自己判断せず、まずは医師の診断を仰いでください。
診断がついている場合で受診が必要なケース
すでに群発頭痛と診断され経過を追っている患者さんでも、以下の状況では改めて受診して相談することをお勧めします。
・群発期に入ったとき
群発期が再来したら、予防薬の開始や調整、在宅酸素療法の手配などが必要です。発作が始まってしまう前に受診し、準備を整えてもらいましょう。
・これまでと発作パターンが変わったとき
毎晩深夜に起きていた発作が突然昼間にも起こるようになった、発作の持続時間がこれまでより長引く、痛みの部位が両側になった等、いつもと違う様子が見られた場合は再評価が必要です。症状の変化によっては別の病気が隠れている可能性も考慮します。
・治療効果が不十分なとき
酸素吸入やトリプタン注射を使っても効果が落ちてきた、発作の頻度が明らかに増えている等、現在の治療で抑えきれない場合は治療法の見直しが必要です。医師に遠慮せず現状を伝え、他の治療オプションを相談しましょう。
・発作頻度が増加・群発期が長期化したとき
群発期が通常より長引いている、年に複数回群発期が来るようになった、など病状が悪化傾向にある場合も受診して下さい。予防治療の強化や新たな治療の導入を検討します。
・緊急受診が必要な場合
下記のような症状を伴う場合は、群発頭痛以外のより重篤な疾患の可能性があります。ただちに救急受診してください。
・頭痛と共に意識障害やけいれんが起きた
・発熱や項部硬直(首すじの強いこわばり)がある
・手足の麻痺や言語障害が出現した
・視力の低下や複視(物が二重に見える)が持続している
・頭痛発作が3時間以上続いて改善しない
これらの症状は群発頭痛では説明がつかず、くも膜下出血や髄膜炎、脳卒中など緊急治療が必要な病態を示唆します。迷わず救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。
定期的な通院が推奨される場合
群発頭痛と診断され治療中の方は、以下のような場合に定期フォローが必要です。
・予防薬(ベラパミル等)を内服中
心電図でのモニタリングや血液検査による副作用チェックのため、定期的に通院し医師の管理下で治療を継続しましょう。
・在宅酸素療法を行っている
酸素ボンベや機器の管理、酸素使用量の確認、処方の更新などのため、やはり定期的な診察が必要です。
・年に複数回の群発期がある
年に2回以上群発期が来るような場合、予防治療の強化や新規治療の検討が必要になることがあります。主治医と相談し、より効果的な治療計画を立てましょう。
Q:群発頭痛は完治した人はいますか?長期的な経過は?
群発頭痛は長期的には慢性的に再発を繰り返すことが多い疾患です。しかし、適切な治療によって症状をコントロールし、日常生活への支障を最小限に留めることは十分可能です。
多くの患者さんでは20~40代で群発頭痛が初めて発症し、その後は数十年にわたり群発期と寛解期を繰り返す経過をたどります。典型的には年に1~2回、1~3ヶ月間の群発期があり、その後数ヶ月~数年の寛解期に入るというパターンです。ただしこれは平均像であり、発作の頻度や周期は個人差が大きいです。
明るい材料としては、加齢とともに症状が落ち着いてくる傾向が挙げられます。例えば50~60代になると群発期の頻度が減ったり、発作の痛みが幾分軽くなるケースが報告されています。実際、60歳を過ぎた頃からぱったり発作が来なくなり自然寛解したという患者さんもいます。若い頃は毎年のように地獄の痛みを経験していた方でも、年齢を重ねるにつれて発作間隔が長くなり、70代以降ではほとんど起こらなくなったという例もあります。医学的な理由ははっきりしませんが、体の変化(ホルモンや生活スタイルの変化など)が影響しているのかもしれません。
一方で、患者さん全体の約10~15%程度は「慢性群発頭痛」へ移行すると言われます。これは1年以上寛解期がなく、発作が持続または頻発するケースです。慢性群発頭痛になると患者さんの負担は非常に大きくなりますが、その分積極的な予防治療(複数の予防薬の併用や神経ブロック療法、新しい治療法の導入など)が検討されます。
最も重要なのは、群発頭痛と診断されたら信頼できる専門医と継続的に連携し、自分に合った治療計画を立てていくことです。幸い、適切な急性期治療と予防治療を組み合わせることで、多くの患者さんは普段と変わらない社会生活を送ることができています。完治が難しくとも「コントロール可能な疾患」ですので、決して希望を失わず、医療者と二人三脚で上手に付き合っていきましょう。
群発頭痛は非常につらい病気ですが、適切な診断と治療で痛みを和らげ日常生活を取り戻すことが可能です。最近では、先述したSTA動注治療など最先端の低侵襲治療も含め、群発頭痛に対する専門的な治療を提供するクリニックもあります。
[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]
【奥野祐次 M.D., Ph.D.(医師・医学博士)】
オクノクリニック 総院長
専門分野:慢性疼痛、モヤモヤ血管に対する血管内治療、カテーテル治療・動注治療、画像診断(MRI・エコーを活用した精密な痛みの診断)
2006年3月、慶應義塾大学 医学部 卒業。2008年より放射線科医として血管内治療に従事し、2012年3月、同大学大学院医学研究科博士課程を修了(研究テーマ:「病的血管新生」)。同年4月より江戸川病院にて運動器疾患に対する血管内治療を専門に担当。2014年には同院「運動器カテーテルセンター」センター長に就任。2017年10月、神奈川県・センター南にて「オクノクリニック」を開院。
現在東京を中心に全国10院を運営するオクノクリニックの総院長。運動器カテーテル治療の専門医として、長年にわたり痛みに悩む患者の治療に取り組んでいる。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
【関連記事】こむら返りは「体からの危険信号」?深刻な病気が隠れている可能性も
【関連記事】【医師に相談】グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)とはどのような病気ですか?






