じつはアスリートよりオフィスワーカーが通う 一汁一飯三主菜の鹿屋アスリート食堂
管理栄養士さんが考える一汁一飯三主菜の選べる定食で、食から健康へ!
― どういった形で携わっているのですか?
私も食事の提供やレジなどのホール、調理などすべてのポジションを行いますが、月に一度、次の月のメニューを考えるのが主な仕事です。
メニューを考えるにあたって、旬の食材だったり、流行っているもの、例えば最近の流行でいうとチアシードのようなスーパーフードなど、そういった食材をメニューに取り入れています。
管理栄養士だけではなく、料理人や接客がメインのスタッフと話し合いながら、自分の提案した食材と組み合わせながら月のメニューを考案しています。
日々、試行錯誤のメニュー
― どういったメニューがあるのですか?
定食というと肉か魚などのメインがどーんとあって、お惣菜などが副菜としてついてるイメージかと思います。アスショクにおいては、「野菜中心」「野菜とタンパク質中心」「タンパク質中心」と3つのカテゴリーに分類し、全15品のおかず(主菜)があります。そこはスポーツ栄養学にヒントを得ていて、「バランスのいい組み合わせ」がテーマとなっています。15品の主菜すべての栄養価はレシピに基づき、数値で出していきます。摂取カロリーや5大栄養素に加えて、塩分やビタミンCなど一日の摂取目安量のどれだけを満たしているか、すべて清算したレシートに記録されています。
また、毎日いらしていただいても飽きない工夫として約2週間ごとに半分のメニューを入れ替えています。開業当時は300レシピだったものが今では1,000を超えるレシピが蓄積されており、食材は同じでも、調理法等を工夫しながらレシピを考案しています。
メニューを固定することもできますが、「選べる楽しみ」を大切にしています。平日のランチ、ランニングやヨガの運動後など、色々な方がお越しになりますので、ご自身の体調や志向に合わせて選んだり、時に私たち管理栄養士が相談にのったりと、毎日の接客でヒントをたくさんいただきます。
お客様のオーダーの傾向や声などを中心にデータの研究もしています。時に「あーこれなんだ!」と思うこともありますね。当店以外に丸の内、品川の店舗が同じ15主菜のメニューを提供していますが、各店のお客様の反応を見ながら、月1回、会議をしています。会議後、メニュー試作、メニュー撮影、メニュー栄養価計算等を行い改善をしています。
時に、まかないを食べている時にメニューを思いつくこともあります。色々と試してみて、こちらのソースの方が合うか、調味料を変える方が合うかなど。お客様から直接意見があることもありますし、残っている食材を見て考えることもあります。アスショクの主菜は1品ごとに栄養価のバランスを考えてつくっているので、人気がないメニューは食材の入れ替えなども工夫しています。
― こちらの店舗はできてどれくらいになるのですか?
本店は6月で4年目に入りました。もともとのスタートは鹿児島県の鹿屋市にある国立唯一の体育大学「鹿屋体育大学」の学生を対象にはじまったプロジェクトでした。スポーツといってもバレーボール、サッカー、ラグビーなどそれぞれのスポーツによりカラダ作りも摂取するべき栄養価も全く異なります。夜遅くまで練習にはげむ学生にとっての「アスリート食堂」は、昨今のライフスタイルの変化などにより忙しい現代人の食生活を「街の健康食堂」としてサポートできるのではないか、そういう思いで東京に本店として誕生し、今は全国に6店舗あります。
食事だけではなく、運動もできるよう、こちらの店舗では上層階にランニングステーションを併設しています。皇居ランナーはもちろん、当店でウォーキングやヨガなど様々なプログラムを組むことで、気軽に運動をしてみたいと来てくださる方も多いです。
特に運動前後の食に対する悩み相談は多いですね。スタッフとして管理栄養士は必ず居るので、この組み合わせはどうですか、といった提案をできる限りしています。先日は息子さんが空手の大会があって、といって普段平日しかこない常連さんが日曜日に息子さんを連れて来てくださいました。とても嬉しかったですね。