アスリートにも効果的、メンタルも安定させるコンピテンシー
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]
”能力がある”などの意味があり、活用することで多くのメリットが見込まれるコンピテンシー。一般的にまだ聞きなれない言葉ですが、近年注目が集まっている概念の一つです。主に経営や企業などビジネスシーンで使用されてきた言葉ですが、パフォーマンス向上へと日々鍛錬を積み重ねるアスリートにとっても押さえておきたい重要なものです。今回は、コンピテンシーとは何なのか、どのように活用されているのかについてお話します。
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ハイパフォーマーの特徴”コンピテンシー”とは
直訳すると”技能、能力、力量、適性”の意味を持ち、1950年代に心理学用語として誕生したコンピテンシー(compitency)。1970年前半にハーバード大学のマクレランド教授による調査で一般用語としても使用されはじめました。
キッカケとなったのは、マクレランド教授がアメリカ国防省から調査依頼を受けたことでした。外交官の採用時のテスト成績や配属後の実績の相関関係を詳しく知るためだったそうです。
調査の結果で明らかになったのは意外にも”学歴や知能は、実績の高さほど相関がない事”。そして高い業績をあげた人には、いくつかの共通した行動特性が見つかったことでした。この研究からコンピテンシーという言葉は、”高い成果をあげる人の行動特性として示されるようになりました。
近年では主にビジネスシーンにおいて取り入れられ、高い効果を導くために重要視されています。ハイパフォーマーな人が『日頃どのようなことを意識しているのか』『どのような理由でどのような行動をしているのか』を分析します。
スポーツでも人の『良いところは盗む』と口にする指導者も多いですが、これもコンピテンシーから来る概念。もちろんハイパフォーマーな人の真似は、誰にでも簡単にできるものではありません。しかしコンピテンシーを意識することで組織やチームに良い相乗効果を与え、確実にパフォーマンス向上へと導きます。
分析から導き出されたコンピテンシーは、その場の感情に流されず落ち着いて判断できる”冷静さ”や状況において軌道修正できる”行動思考”、初対面で好印象を与える”第一印象度”そして問題の本質を見極め解決を図る”分析思考”などで具体的な行動そのものを指すのではなく、”行動へと繋がる性格や動機、価値観”などがコンピテンシーです。
コンピテンシーを取り入れることでハイパフォーマー(能力を持つ人)が増え、チームが活性化しの結果もアップするのです。