【スポーツメンタル】瞑想って脳科学的に効いているの?科学的な裏付けを解説
瞑想って科学的に効いているの?
瞑想の効果について医科学の視点から解明を試みる取り組みは古くから行われてきました。現在では多くの証拠となる発見がされており、少しずつ瞑想の効果について科学的な説明ができるようになってきました。
瞑想の有効性には以下のような疾患や症状について効果があることがわかってきています。
・高血圧
・過敏性腸症候群(IBS)の緩和
・不安感・うつの解消
・不眠症の改善
・急性呼吸器症候群の改善
ただし、通常医療の代替として瞑想を利用する際にはインストラクターなどの専門家の指導・助言を必要とするとされています。
また、瞑想を行なっているからといって病的疾患の医療機関での受診を先延ばしにすることはやめましょう。あくまで、瞑想は「治療の一環」であり、根治的な治療として第一に用いることはよくないとされます。
一般的に身体活動に以上がない人の場合に瞑想のリスクはないとされますが、疾患に対して医療的なアプローチを行わずに放置すると症状が悪化することがあるという点には注意が必要です。
脳科学的な視点では、瞑想が「神経の栄養」を増やしている可能性が示唆されている
瞑想の医科学的な効果の解明として脳科学的な視点による解明は特に進められている分野の一つです。
Effects of meditation and mind-body exercise on brain-derived neurotrophic factor: A literature review of human experimental studies(You et al. 2020)は信頼のおける瞑想と脳科学における関係を扱った15件の論文の比較・検証を行なったレビュー論文です。
この研究では、「統合失調症患者」「慢性腰痛の女性」「軽度認知障害の高齢者」「大うつ病性障害者」「原発開放隅角緑内障者」「不妊症の女性」といったさまざまな集団に対して瞑想だけでなく、ヨガ、太極拳を通した検証が行われた結果をまとめています。
この中で、瞑想や関連した運動を行なったことで神経末梢の脳由来神経栄養因子(BDNF)濃度が有意に上昇したことが確認されたそうです。
脳由来神経栄養因子(BDNF)とは、神経細胞の成長を調節するタンパク質で、脳細胞の増加には不可欠な因子です。
このBDNFは「長期記憶の定着」などに深く関わるシナプス可塑性にも関与していることが知られています。
瞑想がBDNFの末梢濃度を上昇させているメカニズムは未解明ですが、この研究によって瞑想がスポーツにおける「動作の定着」や「運動神経」に深く関わっているとされる因子を増やしている可能性が示唆されました。
瞑想の脳科学的な効果は実証されつつある、トレーニングの選択肢のひとつとしてみよう
瞑想は脳科学的な視点で解明が進められています。
特に、近年、注目されている脳由来神経栄養因子(BDNF)を増やしている可能性は、さまざまな分野における効果が期待されます。
ただし、脳科学における瞑想の効果は証明され始めたばかりです。
瞑想だけに頼りすぎるのではなく、さまざまなトレーニングを行う中で選択肢の一つとして検討してみましょう。
「できることがあるのならなんでも試してみよう」という精神は、時に他のアスリートではなし得ないような効果をもたらすことがあります。
同じ目標であっても広い視野を持って取り組んでみることが重要なのではないでしょうか。
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人
1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。