トップアスリートに学ぶ「心のマネジメント術」~ネガティブでも大丈夫!マインドセット法は人それぞれ~
ベテランでも弱音を吐く、マインドセット法は人それぞれでいい
塚越 多くの人のカウンセリングを担当してきてキツイことがあったときに、挫折から絶望にいってしまう方もいます。そういったときの心の動きはいかがでしょうか?
藤田 ラグビーをやっている上ではあまり絶望とか「もうやりたくない」とか「もうダメだ」とか、思ったことはなくて。どちらかというと「悔しい」とか「もう一回チャレンジしたい」とかいったチャレンジ精神の方が強いのかなと思います。
塚越 一流アスリートの方はおおむねそのような思考なのでしょうか、もしくは「パフォーマンスが出しきれなくてダメだ」というネガティブ思考の人も中にはいるのでしょうか?
藤田 スポーツ選手にも色々な選手がいて、すごくネガティブな思考の選手もいます。たとえばラグビーのベテラン選手でも、グラウンド上ではすごいパフォーマンスを発揮するのに、部屋では「もうやりたくない」とか弱音を吐いている選手も全然います。それは各選手のスタイルなので、別にポジティブが良いとかネガティブが悪いとかいうわけではないと思います。僕自身がポジティブなマインドセットの方が上手く回るので、そうしているだけで、逆に愚痴を吐き出したり、弱さを見せる方がいい選手もいます。それは人それぞれなので、色々なスタイルがあっていいんじゃないのかなとは思いますね。
逆に自分に合わない方法なのに、それが良いと言われてやり続けても、多分長続きしないし、それは自分のスタイルではないと思うので。どんなに人から見たら、良くないマインドセット法でも、それが1番自分が輝けるスタイルであるならば、それが1番良いんじゃないかなと僕は思いますね。
塚越 一流のアスリートの方というのは皆さん自分の特性を活かしてパフォーマンスが発揮できるように臨んでいるということなんですね。
藤田 自分が1番グラウンドで輝けるプロセスを踏むには、自分がどういうメンタルでやっていったらいいのかを、プロ選手であればこれまで数々の修羅場を乗り越え、プレッシャーと戦ってきたことで得た経験があるのかなと。その色々なマインドセットの中で『こういうスタイルでいこう』とたどりつくのではないかなと思います。
塚越 様々な苦難から生まれてくるマインドセット法ですね。
藤田 今プロを目指す子供たちも、たとえお手本があったとして、結果を残すためには「これが絶対」ということはないので、自分がどのように心を整えていけば、パフォーマンスが出せるのかをを試しつつ、上に登って行って欲しいなというのはありますね。
(第3回では藤田氏がマインドセットにおいて劇的に変わったとするある経験を取り上げます)
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
塚越友子(つかこし・ともこ)
過去に自身で仕事中にうつ病を発症した経緯から、働く人のカウンセリングに注目。2008年に東京中央カウンセリングを開業。社会学修士号(社会心理学)教育学修士号(臨床心理学)。公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー。
藤田慶和(ふじた・よしかず)
ラグビースクールの監督をしていた父の勧めで7歳から競技生活をスタート。名門・東福岡高校時代に頭角を現すと全国高校ラグビーで主力として3連覇を果たす。2015年ラグビーW杯ではチーム最年少出場、今夏の東京五輪では7人制ラグビー日本代表として戦った。埼玉パナソニックワイルドナイツ所属。