【スポーツメンタル】侍ジャパンが最高の教科書、アスリートのための”心理的安全性”
”最高の心理的安全性”を発揮した侍ジャパン
WBC優勝で『最高の”心理的安全性”の教科書だ』と称された侍ジャパン。最高の結果を残した強さの秘密は、チームの心理的安全性が高かったことです。
侍ジャパンが、押さえていた心理的安全性の2つの特徴は”構造”と”対話”。チームの目標やメンバーに期待する役割、評価基準を”構造”としていました。
栗山英樹監督が一切ブレることなく、チームの目標としていたのは、『世界一(優勝)』。出場する限り優勝を狙うのは当たり前のことに思えますが、選手を一層奮い立たせた準々決勝イタリア戦の前日会見での栗山英樹監督の”目標の伝え方”が評価されています。
「子供にも大人にも夢や元気、勇気を与えることができるならば、侍ジャパンとしての意味がある。だから世界一を目指す」。この言葉は、侍ジャパンの選手たちに『ただ試合に勝つことだけではなく、社会的に影響を与えるのだ』と心に刻まれたのです。
もう一つの特徴が”対話”でした。「今のチームは、みんなとコミュニケーションをとりながらやっている」と話したダルビッシュ有投手。2009年のWBCのチームメンバーは自分のことだけやっていたそうです。
選手陣の団結について質問を受けた今永昇太投手は「冗談も言い合える家族のような存在。時には弱さを見せ合える関係性」と答えていました。
メンタルの強さが求められるアスリートにとって”弱さは見せられない”と感じてしまうものです。しかし侍ジャパンでは『自分の弱さを見せても馬鹿にされたりしない』そんなメンバーだったのです。率直に”チームで対話”することでお互いを高め、チームの勝利に貢献できる環境が作られました。
日本ハムファイターズの監督時代から『若手からベテランまで毎日隙あらば一対一で話をしようと試みる監督』と言われていた栗山英樹監督。そんな彼から「一人ひとりの選手と対話するタイプ」と評価されたのが大谷翔平選手でした。
「(大谷翔平選手と話すことで)選手は、何の不安もなくプレイできるんじゃないか」と感じていたそうです。そんな栗山英樹監督が侍ジャパンではなく、”ダルビッシュジャパン”と話したこともありました。それだけダルビッシュ有投手のリーダーシップが大きな影響を与えていたのです。
今回は、心理的安全性についてお話しました。Google社が約4年もの年月をかけて調査した結果、明らかになった良いチームを維持できる要因。そして優勝、世界一を成し遂げることができた侍ジャパンが見せた”構造と対話”をぜひ実践していただきたいと思います。
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人
1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。